学級会の進め方がわかりません-5-

(2023.8)

【小学校先生たちの特活お助け玉手箱 連載5回目】

日本式の学校教育が世界から注目される特長に、全人的な教育を行うことがあると言われます。
特に、その象徴的な役割を担っているのが「特別活動」です。
学習指導要領によれば、特別活動は「様々な構成の集団から学校生活を捉え、課題の発見や解決を行い、よりよい集団や学校生活を目指して様々に行われる活動の総体である」とされており、「なすことによって学ぶ」ことを方法原理としながら、各学校で特色ある取組が進められています。
また、複雑で変化の激しい社会の中で求められる能力を育成するという視点からも、特別活動に期待される役割は、今後ますます大きくなっていくと予想されます。特別活動で育成を目指す資質・能力の重要な要素であり、学習過程においても重要な意味をもつ3つの視点である「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」は、各教科等で育成する資質・能力とも様々に関わっており、実際の社会で生きて働く汎用性もあるからです。

そんな特別活動の授業名人になれるヒミツをお伝えするのが、本連載です!

名付けて「小学校先生たちの特活お助け玉手箱」。
一般財団法人 総合初等教育研究所 室長で、元・全国特別活動研究会 会長の、福田 俊彦 先生の監修でお届けします。

登場人物紹介

校長先生

特別活動のことなら、
なんでも来い!
知る人ぞ知る、伝説の特別活動名人。

ユメ先生

憧れの小学校教諭になったばかり。
元気とやる気でいっぱいの新人先生。

前回のあらすじ

張り切って学級会をやってみたら、「話合いが終わらない」!
壁にぶつかったユメ先生が校長先生に相談すると、まったく思いがけない角度からの指導を受けて
深く納得するのでした・・・

今回のお助け事案:実践の段階に効果的な支援とは?

うーん・・うーん・・

おや、どうしましたか?ユメ先生。
なんだか難しい顔をしてますね。

あ!校長先生!
先日は、素晴らしい資料をありがとうございました。

いえいえ!
話合いは、うまくいきましたか?

はい!おかげさまで、いい感じにできました。
これから実践なのですが、子供たちは一生懸命準備しているようで、盛り上がっています。
ただ・・・

うん?・・・ただ?

一生懸命になりすぎているのか、ちょくちょく何か起きてしまっていて・・
しかも、なんだか当初の目的からズレたところで。

もちろん、何もないことだけが良いわけではないのですが
せっかく話合いはうまくいったのに・・と思って、悩んでいるんです。

なるほど。
でもね、それは、いい悩みですよ!
さすがユメ先生です。

え!いい悩みでしたか?

はい。やりっぱなしにしていない、ということですからね。
とてもいいですよ!

小学校学習指導要領 解説 特別活動編 第2章 第1節3にも
「特別活動における「深い学び」の実現には,
特別活動が重視している「実践」を, 単に行動の場面と狭く捉えるのではなく,
課題の設定から振り返りまでの一連の活動を「実践」と捉えることが大切である。」
と書かれていますよね。

ああっ!そうでした・・・!

実践の段階は、学級会の「結果」ではなく、学習過程の一部なのでした。

学級会にも事前〜本時〜事後という流れがあることを教えていただいていたのに、
いつの間にか、話合い自体が学級会の目的だったような気になっていた気がします。
子供たちは、話合いのために話し合っていたのではなく、
充実した実践を行うために話し合ってるのに・・💦

そうそう。思い出してきましたね!

折り合いつつ合意形成に向かったときの内容から、意見や進捗の状況を共有していくことで
全体で問題解決に向かって活動しているという実感が、子供たちの中に生じます。
つまり、この段階は、学びの自覚として大切に捉えていく必要があるのですよ。

はい!ありがとうございます。

では、改めてご指導いただけたら有り難いのですが・・
今の段階で、教師側としては、どんな支援をしたら良いのでしょうか?

実践に向けて計画が始まると、必要な役割が生じて、分担が始まりますね。
そして、役割ごとに計画や準備の段階が生じると、当然、順調なことも、
うまくいかないことや、新たなアイデアが必要となる場面も、出てきます。
ユメ先生の学級も、きっと、そんな段階なのかなと思います。

そこで、子供たちが必要なとき、いつでも、もともとの提案理由の内容を
確認できるようにしておくといいかもしれないです。
例えば、みんなに見えるところに、何のための実践なのか、何を目指しているのかなどを
掲示するスペースを作るという方法がありますよ。

また、役割ごとの活動の進捗状況を共有できるような時間を、朝の会や帰りの会に
とることも大事です。

なるほど・・・
確かに、それはよさそうです。
さっそく工夫してみます!!

うんうん。ぜひやってみてください!

そして、一連の活動が終わったら、学習過程を振り返り、
何がよかったのか、もっとよくしたことは何か、
大切にしたいことは何か、変えていきたいことは何かなど、
次の活動につながる振り返りを行うことが大切です。
学級会ノートへの記載だけに留まらず、
振り返りの内容について話し合える時間を設定することも大事ですよ。 

おおお・・イメージがむくむく湧いてきました!
やってみます!頑張ります!
校長先生、ありがとうございます!!

よかったですね。
では、今回も秘伝のメモを差し上げましょう。

わ!これはすごい!!
ありがとうございます!
このメモを活用すれば、
次の学級会まで見通しながら
指導できそうです!

いいですね〜!
学級会での学びをつなげていくことです。
ユメ先生、期待していますよ!

(監修:一般財団法人 総合初等教育研究所 室長 福田 俊彦)

特活お助け玉手箱
「学級会の進め方がわかりません」バックナンバー

1 学級会の進め方
2 学級会の議題を、どうやって見つけるか?
3 学級会が終わらない?折り合いつつ合意形成に向かう話合い
4 合意形成する話合いの方法は?
5 実践の段階に効果的な支援とは?

▶️特別活動の充実には、こちらの雑誌もおすすめです!
「道徳と特別活動」
https://www.fujisan.co.jp/product/1281702462/

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