映画「小学校〜それは小さな社会〜」舞台の小学校にフィンランドの高校生が来校!
(2024.11)
10月17日、東京都世田谷区立塚戸小学校にフィンランドの高校から10名の学生が来校しました。彼らがこの学校に来たきっかけは、ドキュメンタリー映画「小学校〜それは小さな社会〜」。高校生たちと子どもたちの交流の様子や、彼らが塚戸小学校を訪れるきっかけとなった映画についてご紹介します。
フィンランドの高校生が訪問 運動会練習の様子などを見学
この日、塚戸小学校に訪れたのは、フィンランドの「ヘルシンキメディア芸術高等学校」から来た高校生。全員年齢はバラバラで、普段はそれぞれ関心がある分野について学んでいるのだそう。今回は特に日本に関心の高い10名が、「学習旅行」の一環で日本各地の学校を見学し、その最後の訪問先として映画「小学校〜それは小さな社会〜」の舞台となった塚戸小学校に訪れました。
高校生たちを最初に迎えたのは、全校児童で行っていた運動会直前の「応援練習」。グラウンドに全校児童が集まり、エール交換や歌を練習するところを珍しそうに見学しました。ちなみに、フィンランドにはスポーツフェスティバルというみんなでスポーツを楽しむ日はあるそうですが、行事としての「運動会」はないのだそうです。
運動会練習の中でも高校生が特に興味をもったのが、6年生の演目「ソーラン節」の練習の様子。全員でフォーメーションを組み全力で踊る様子に感動し、中には一緒に手を動かして踊る高校生も。練習を見終わった後は「素敵なダンスを見せてくれてありがとう」と、6年生に感謝を伝えました。
フィンランドの高校生に大好評だった「ソーラン節」。披露してくれたお礼と激励の言葉を送りました。
6年生の英語の授業では、「I want to go to Italy.」という単元で、子どもたちがそれぞれ行ってみたい国を発表するという内容でした。中にはフィンランドについて話をする子どももおり、高校生たちは自分たちの国のことを話す姿をうれしそうに聞いていました。
6年生の発表が終わると、高校生たちからお返しに自分たちの国の文化を紹介。フィンランドの学校文化や自然、人気のキャラクターなどを児童も伝わるやさしい英語で紹介していました。
「まるで企業のミーティング」2年生の学級会に驚く様子も
次の時間では、2年生の学級会の授業を見学。「学級の歌の歌詞を考えよう」という議題の学級会の話合いの様子を、興味深そうに参観していました。日本語で展開される学級会を「小学校 〜それは小さな社会〜」を制作した映画監督、山崎エマさんに英語訳してもらいながら聞き、時折疑問に思ったことを質問する様子もありました。
学級会では、子どもたちがお互いの意見を伝え合い、時には譲り合ったり「こうしたらどっちの意見も入れられていいんじゃないかな?」と提案したりする場面もありながら、無事歌詞が決定。話し合い終了後には、司会グループから「フィンランドの皆さんが、話合いを静かに聞いてくれてよかったです」という言葉が出てきて、思わず微笑む場面もありました。
1時間の話合いの様子を見ていた高校生は「まるで企業のミーティングのようなことを、あんなに小さな子どもたちがやっていた」と驚いていました。
1日見学を終えて、高校生たちは「映画のイメージだと、日本の学校はもっと厳しい教育がされているところなのかと思っていた。しかし、子どもたちが楽しそうに過ごしているのを見て少し安心した」と冗談混じりに話す一方で、「フィンランドには、日本の文化に関心のある学生が自分たち以外にもたくさんいる。校内にある『ジャパンクラブ』というクラブで今回の旅行での経験や記録を共有し、もっと日本への関心を深めたい」と日本の生活や教育文化への興味をさらに深めていました。
日本のリアルな学校を映し出す映画「小学校〜それは小さな社会〜」
フィンランドの高校生が塚戸小学校を訪れるきっかけとなった映画「小学校〜それは小さな社会〜」は、「人を育てる」ことに重点を置いている日本型教育を再評価する一面をもつ一方で、観る人に今後の日本の教育についての課題を提示する作品です。
世界各国で先行上映され、特に教育大国であるフィンランドでは大きな反響を呼び、ドキュメンタリー作品としては異例の4ヶ月以上のロングヒットとなりました。
タイトルの通り「小さな社会」で懸命に生き、成長する子どもたち。そして、子どもたちと一緒に悩み、子どもの成長に笑い、泣き、自らも成長する先生。そんな当たり前の風景から、日本の教育と未来についてのヒントが見えてくるかもしれません。