学級会の進め方がわかりません-2-

学級会の進め方がわかりません-2-

小学校先生たちの特活お助け玉手箱 連載2回目

日本式の学校教育が世界から注目される特長に、全人的な教育を行うことがあると言われます。
特に、その象徴的な役割を担っているのが「特別活動」です。
学習指導要領によれば、特別活動は「様々な構成の集団から学校生活を捉え、課題の発見や解決を行い、よりよい集団や学校生活を目指して様々に行われる活動の総体である」とされており、「なすことによって学ぶ」ことを方法原理としながら、各学校で特色ある取組が進められています。
また、複雑で変化の激しい社会の中で求められる能力を育成するという視点からも、特別活動に期待される役割は、今後ますます大きくなっていくと予想されます。特別活動で育成を目指す資質・能力の重要な要素であり、学習過程においても重要な意味をもつ3つの視点である「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」は、各教科等で育成する資質・能力とも様々に関わっており、実際の社会で生きて働く汎用性もあるからです。

そこで、今回から、そんな特別活動の授業名人になれる連載を始めます!

名付けて「小学校先生たちの特活お助け玉手箱」。
まずは、特別活動の中心を担う「学級会」の授業の魅力に触れていきましょう!
一般財団法人 総合初等教育研究所室長で、元・全国特別活動研究会会長の、福田 俊彦 先生の監修でお届けします。

登場人物紹介

校長先生

校長先生

特別活動のことなら、
なんでも来い!
知る人ぞ知る、伝説の特別活動名人。

ユメ先生

ユメ先生

憧れの小学校教諭になったばかり。
元気とやる気でいっぱいの新人先生。

前回のあらすじ

特別活動の中心を担う「学級会」にチャレンジしたいユメ先生。
校長先生から、学級会にも「進め方」があることを教えてもらい、やる気に火がつきました。
でも、最初の段階で、いきなり迷子になりそうな・・??

今回のお助け事案:学級会の議題を、どうやって見つけるか?

ユメ先生

校長先生!
学級会にも、[事前]ー[本時]ー[事後]の流れがあって、
「振り返り」から新たな課題の発見につながることはイメージできたんですが・・

でも、じゃあ、一番最初の議題は、どう考えればいいんでしょう?

校長先生

うん。
ちなみに、ユメ先生は、どんな風にしようと思っていたの?

ユメ先生

実は「学級目標を決めよう」とかって、どうかなと思っていたんです。

でも、お話を聞いているうちに・・ちょっと違ったかもしれないと・・

校長先生

ああ、なるほどね。
そうですね、「学級目標を決めよう」は、違うと思いますよ。

学習指導要領を見てみてください。
学級目標は「学級活動(3)ア 現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲や態度の形成」の内容として、教師が題材として提示するものなんですよ。

ユメ先生

え!!
そ・・そうなんですね。

校長先生にお話してみて、良かったです。
やらかすところでした。

校長先生

先に気がついたから、セーフでしたね!相談してもらって良かったです。

いきなり決めてしまおうとするのではなく
「議題」とは、どのようなものか、
また、話し合ってもいいことは何なのか。
生活課題から、子供たちで解決できることを、
必然性や緊急性、自治的範囲から選定していく過程を、まずは大事にしていくと良いのですよ。

ユメ先生

生活の課題に気づき、議題選定のプロセスを大事に・・

たとえば、どんな方法があるのでしょうか?
  

校長先生

そうですね。
ある学級では、他の学校で話し合われていた議題の内容を紹介したり、議題例の一覧表を掲示したりしていましたよ。

ユメ先生

なるほど!
具体例を見ることで、子供たちが課題の存在に気づきやすくなるわけですね。

でも、それだと、単に真似するだけになりませんか?

校長先生

その学級では、議題を提案する際に、提案理由を必ず添えさせるようにしていました。
問題の背景を考えて「今、〇〇だから〜すれば、〜になるから」という感じです。

さらに、提案理由に記されている内容を子供たちと練り上げていましたね。
そうすることで、一人一人の子供が、
自分の学級の問題点をより明確にできるようにしていくのです。

ユメ先生

おお〜!
そういう手立てがあれば、子供たちの「解決したい」意欲が高まって
本時の話合いも活発になりそうです!

校長先生

そう!そうなんですよ。

問題に気づく環境をつくり、議題選定の過程を大切にすると、
子供の議題に対する関心、問題解決への意欲が高まります。
子供たちにとって、議題が「自分ごと」になるからです。

すると、よりよい解決を目指そうと、
さまざまな考えが生み出されるようになります。

そうなれば、学級会に参画する理由、自分のめあてがもてるようになるので
話合いの質が向上するというわけです。

ユメ先生

よくわかりました!
まずは、問題に気づき、議題選定の過程を大事にするところから始めてみます!
ありがとうございました!!

校長先生

がんばってくださいね!

では、ユメ先生に、私から秘伝のメモを差し上げましょうか。
「問題の発見・確認」段階での活動内容をまとめたものです。

学級会の進め方がわかりません-2-
ユメ先生

わあ!これはすごい!!
校長先生、ありがとうございます。さっそく活用させていただきます!

校長先生

喜んでもらえて嬉しいです。
ユメ先生、がんばってくださいね。応援してますよ!

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(監修:一般財団法人 総合初等教育研究所 室長 福田 俊彦)

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