学級会の進め方がわかりません-4-

(2023.6)

【小学校先生たちの特活お助け玉手箱 連載4回目】

日本式の学校教育が世界から注目される特長に、全人的な教育を行うことがあると言われます。
特に、その象徴的な役割を担っているのが「特別活動」です。
学習指導要領によれば、特別活動は「様々な構成の集団から学校生活を捉え、課題の発見や解決を行い、よりよい集団や学校生活を目指して様々に行われる活動の総体である」とされており、「なすことによって学ぶ」ことを方法原理としながら、各学校で特色ある取組が進められています。
また、複雑で変化の激しい社会の中で求められる能力を育成するという視点からも、特別活動に期待される役割は、今後ますます大きくなっていくと予想されます。特別活動で育成を目指す資質・能力の重要な要素であり、学習過程においても重要な意味をもつ3つの視点である「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」は、各教科等で育成する資質・能力とも様々に関わっており、実際の社会で生きて働く汎用性もあるからです。

そんな特別活動の授業名人になれるヒミツをお伝えするのが、本連載です!

名付けて「小学校先生たちの特活お助け玉手箱」。
一般財団法人 総合初等教育研究所 室長で、元・全国特別活動研究会 会長の、福田 俊彦 先生の監修でお届けします。

登場人物紹介

校長先生

特別活動のことなら、
なんでも来い!
知る人ぞ知る、伝説の特別活動名人。

ユメ先生

憧れの小学校教諭になったばかり。
元気とやる気でいっぱいの新人先生。

前回のあらすじ

張り切って学級会をやってみたら、「話合いが終わらない」!
壁にぶつかったユメ先生が校長先生に相談すると、まったく思いがけない角度からの指導を受けて
深く納得するのでした・・・

今回のお助け事案:合意形成する話合いの方法は?

校長先生、前回は「折り合いつつ合意形成に向かう話合い」のご解説を
ありがとうございました!
みんなで合意形成していこうという見通しがもてることが大事だという点、
とてもよくわかりました。

でしたら、よかったです!

では続けて「合意形成する話合い」について
少しお話していきましょうか。

ぜひ、お願いします!
色々な意見が出たのは良かったのですが、
よりよい解決のためには
どうやって絞り込んだらいいのか・・

お、なるほど・・絞り込もうとしているんですね。
すると、イメージが少し違ったかもしれませんよ?

えっ!そうなのですか?!

絞り込むというのは、
「多数ある中から一定の規準で選び、
対象範囲を狭くする/一つに決める」
という意味ですよね。

すると、賛成・反対の発言の中で、
「どれがいいか」「どちらがいいか」という見方に
偏りやすくなる可能性があるのです。

なるほど・・・
だから、言い合いみたいになってしまったのかもしれないです。
特定の子がした賛成の発言に流れたり、賛成が多いものに単に流れたり、
逆に、消去法のように意見が決まったりということも起きそうです。

学級会が始まった時点では、子供たちは、議題の提案理由を基にして
それぞれ考えをもって臨んでいます。
そして、学級会で意見を出し合い、比べ合っていく過程で、
それぞれのよさや課題に気づいていきます。
友達の案の方が目的に合うなとか、時間的に間に合うだろうかとか、
あるいは、工夫をしたらよりよくなるなとか、ね。

一人の出した案が、みんなで話し合っていくうちに変化したり
みんなの話を聞いているうちに、自分の考えを変えたりします。

確かに、そうです!
ということは、絞り込むというより、みんなで練り上げるイメージを
持つ方がいい気がしてきました。

ああ、練り上げるというのは、いいかもしれませんね!
複数の意見を合体させて結論がまとまることもありますし
反対の部分を改善していくことでまとまっていくこともあります。
ユメ先生、ナイスです!

そして、大事なのは、学級会の合意形成というのは、
絶対解ではなく、納得解だということなんです。
あくまでも「今回は」というところでの合意形成になります。


絶対解ではなく、納得解・・・

そうです。
実践してみなければ分からないこともありますから。
やってみて、良かったことを実感したり、
うまくいかなかったことは、
どうしたらうまくいくのか考えることにつながっていきます。

たとえば、他にもいい案があったら
「今回はやらないけれど、休み時間にやってみよう」という
視点を子供たちにもたせることも大事なんですよ。

なるほど!
段々イメージが湧いてきました!
やってみます!!

がんばってくださいね!
では、「折り合いつつ合意形成する話合い」の
秘伝のメモを差し上げましょう。

おおっ!これ、すごいですね!
さっそく活用させていただきます。
ありがとうございます!!

はい!
応援していますよ!

(監修:一般財団法人 総合初等教育研究所 室長 福田 俊彦)

特活お助け玉手箱
「学級会の進め方がわかりません」バックナンバー

1 学級会の進め方
2 学級会の議題を、どうやって見つけるか?
3 学級会が終わらない?折り合いつつ合意形成に向かう話合い
4 合意形成する話合いの方法は?
5 実践の段階に効果的な支援とは?

▶️特別活動の充実には、こちらの雑誌もおすすめです!
「道徳と特別活動」
https://www.fujisan.co.jp/product/1281702462/

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