第25回「教育セミナー」参加レポート(1)

「教育課程に基づく授業の展開 -個の変容を捉えた「深い学び」の実現-」

(2022年 3月 14〜31日[終了])

第25回「教育セミナー」に参加したので、レポートをお届けします。

教育セミナーとは、一般財団法人 総合初等教育研究所が年に1回開催している研究会です。

全国の小学校教員を対象に、新しい教育課題に対する指導について、実際の授業を通した提案や意見交換が行われる学びの場です。現役の教員が研究員となり、主査(大学の教授・准教授)を中心に現場での実践をベースにしながら進めているのが特長です。
教育現場からの注目度が高く、学習指導要領告示の際には日本中から700名を超える参加者が集まりました。

プログラムの概要は事前レポートでもお伝えしていますので、ぜひそちらもご参照ください。

▶︎ 事前レポート(1)各教科の特質を踏まえた「深い学び」の在り方とは?
▶︎ 事前レポート(2)個の変容を捉えた「深い学び」の実現とは?
▶︎ 事前レポート(3)「資質・能力」と学習評価

各教科等の分科会では「個の変容を捉える」手立てを紹介

教育セミナーは、各教科等ごとの分科会、授業技術のワークショップ、シンポジウム、特別講演という、5つのプログラムで構成されています。

まずは各教科等の分科会を受講しました。

教育セミナーの分科会は、大会テーマに基づいて各教科等ごとの分科会テーマを設定し、丁寧で計画的な授業実践と検討を重ねながら研究を深めていくのが特長です。

今回の各分科会ごとのテーマは次のようでした。

国語科:言葉の力に着目し、児童自らが考え表現する国語科の授業づくり

社会科:主体的・対話的な学びを通して深い学びを実現する社会科の授業改善

算数科:数学的に考える資質・能力を育成する算数科の授業

理 科:問題解決を通して資質・能力を育成する理科の授業づくりと評価

道徳科:深い学びを実現する道徳科の授業づくりと評価の工夫

外国語教育:小学校外国語教育の指導と評価の具体

特別活動:子供に確かな力を育てる特別活動―新しい時代の集団活動―


各教科等の分科会では、教科等の特質と児童の発達段階を踏まえながら「個の変容」を捉えるさまざまな手立てが紹介されました。

授業実践の発表では、丁寧に変容を捉えながら適切なフィードバックを行うことにより、学びが深まっていく様子がよくわかります。

GIGAスクールネットワーク構想の前倒しにより全児童に配布された1人1台のタブレット端末を活用した授業実践もありました。

さらに、世界中を巻き込んでいる新型コロナウイルスやSDG’sなど現代的課題を取り上げていたりする授業実践も多数紹介されていました。とても興味深かったです。

教育セミナーの大きな魅力の一つに、各教科等の教科調査官が助言者として登壇されることがあります。

講義の内容は、大所高所からの概論だけでなく、個々の児童が学びを深めていくために有用な声かけの例など指導の工夫や評価の具体にまで及びました。

授業技術のワークショップは児童に新しい時代を生きる力を育むヒントが満載!

授業技術分科会のテーマは「よりよい学級生活を創る学級会の学習過程に着目して」。

主に初任者の先生方を対象にしているとのことですが、プログラムは、指導講演のあと3つの実践事例が紹介され、続いて質疑応答・協議会、ワークショップと盛り沢山な内容でした。

冒頭の指導講演で、主査の福田俊彦先生(一般財団法人総合初等教育研究所 室長)は、コロナ禍で見えてきたこととして、子供たちの受け身や指示待ちの姿勢、「わからないからしない」というあきらめの気持ちがあったことに触れ、子供たちの主体性に関わる姿を考え直す契機であると述べられました。

そして、この状況の中で子供たち自身から「友達と話したい」「友達と遊びたい」といった、自ら何かを「したい」という気持ちが溢れ出してきたことの重要性を指摘されました。
この言葉を生み出した今、このコロナ禍の生活経験を学びに生かすことが、児童の前向きな生き方につながるということです。

ワークショップのテーマは、「Yes andのコミュニケーション」。

「サザエさんのお誕生会を企画しよう」というテーマで、相手の提案を必ず否定するやりとり、「いいですね」と肯定するやりとりの2パターンで、ペアで話し合うワークが行われました。

否定も肯定も単にルールで行なっていることがわかっていても、否定され続けると何も考えられなくなり、肯定されるとどんどん話したくなるというのが印象的でした。

次回のレポートでは、シンポジウムと特別セミナーの様子を紹介します。


第25回「教育セミナー」(主催:一般財団法人 総合初等教育研究所)

■大会テーマ:「教育課程に基づく授業の展開」~個の変容を捉えた深い学びの実現~

■開催方法:オンデマンド(録画配信)

■配信期間:令和4年3月5日(土)~3月31日(木) 【終了】

詳しくはこちらから
http://www.sokyoken.or.jp/seminar/seminar.xhtml

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