今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会(第4回)
(2023.4.27)
○令和5(2023)年4月27日に「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会(第4回)」が開催されました。
・この専門会議は、現行の学習指導要領の下での子供たちの学習の状況や学校における学習指導の状況等を踏まえつつ、今後の社会の変化を適切に見据えながら、今後の教育課程や学習指導及び学習評価等の在り方について必要な検討を行うことを目的として設置されているものです。
・座長には、千葉大学の天笠 茂名誉教授、座長代理には、上智大学総合人間科学部の奈須正裕教授と、学習院大学文学部の秋田喜代美教授が就任されています。
・第1回目の会合は令和4年12月22日に開催され、以来、ほぼ毎月1回のペースで開催されています。
○第2回目と3回目では、「これからの社会像について」というテーマを挙げ、これからの子供たちが生き抜く社会像に関する有識者から提言を受けた上で議論が行われました。
・第2回目は、京都大学「人と社会の未来研究院」副研究院長・教授の広井良典氏より「未来社会のデザイン―AIと超長期の歴史把握の視点から」と題して講演と提言が行われました。
・第3回目は、慶應義塾大学環境情報学部教授であり、Zホールディングス株式会社シニアストラテジストの安宅和人氏より、「これからの人材育成を考える」という題での講演と提言が行われました。
○今回の第4回目では、まず、事務局より、4月20日に公表となった「公立小中学校の「教育課程の編成・実施状況調査」の結果概要」の報告が行われました。
その後、前回までの会議を踏まえ「今後検討すべき課題について」をテーマに各委員が意見と提言を発表した上で、意見交換が行われました。
・各委員からの意見と提言は、当日の配布資料として公開されています。
→こちらから(リンク先:文部科学省ホームページ)
○意見交換では、次のような話題が出されました。
・小学校の教科担任制について、「専門性の高い教科」ということで、理数や図工、体育での導入が進んでいるが、国語のような、学習の基盤となる教科でも専門性の高い教師による指導の必要性が検討されてもいいのではないか。
義務教育9年間を通して、どう串を通していくかの考え方は、さらに検討する必要がある。
・総則と各教科の関連について、改めて見直す必要はないか。総則は総則、教科は教科になっていないか。また、各教科の側から総則はどう見えているか。
たとえば、メタ認知や学習法略が必要であると総則には書き込まれているが、各教科でそれをどう捉えているか。言葉の意味のところで、「伝言ゲーム」が起きていることはないか。
・デジタルからの教育課程へのインパクトについて、社会が変わったから、それに対応して教育も変わるという考え方は受け身的ではないか。
我が国の教育理念は、社会が変わっても変わらない。デジタルを導入する際に、理念実現のためのツールとして捉える見方も大事なのではないか。
・教育方法にどこまで国が言及するかは難しく、法的拘束力のある学習指導要領に方法論や単元構成についてまで書き込まれるのは違和感がある。
しかし、ここは有識者会議なので、単元論や教科書行政についても検討課題としても良いのではないか。単元の質を変えていくことがレスイズモア、個に応じた指導に通じる。
○最後に、天笠座長は次のように議論を締めくくりました。
・単元を構成するものとして、内容と方法と組織という3つがある。方法は、一般的には先生の授業の進め方だが、どういうチームを組むかということも方策と考えると、組織の在り方も課題となる。そういったことについても、これからしっかり議論していきたい。
・総則と教科のつながりについては、今回の学習指導要領に限らず、そこに努力してきた30年であったと思う。この30年の流れを振り返りながら検討していくのもいいのではないか。
・前回の改訂以降に出された、GIGAスクール構想の前倒し、内閣府からの提言などは、どれも短い時間で検討されたものである。
一度これらを俯瞰して、交通整理をする必要があるのではないか。
一方で、OECDからの提言もある。これも含めて話し合っていきたい。
・デジタル社会との関係については、学校が未来を作るのか、できないのか、といったことは、実は1930年代から議論されてきているテーマであるとも言える。これもまた、検討する価値があるのではないか。
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