[レポート] 第24回教育セミナー[その3]
テーマ
「教育課程に基づく授業の展開 -資質・能力を育む「深い学び」の実現-」
( 2021年3月10日(水)~3月31日(水))
現在開催中の第24回「教育セミナー」レポート[その3]です。
本セミナーは、全国の小学校教員を対象として、新しい教育課題に対する指導について実際の授業を通した提案や意見交換が行われる、学びと気付きの場です。
例年は全国からの参加者が一堂に会して行われてきましたが、コロナウイルス感染拡大防止の観点から、インターネット上のオンデマンド(録画配信)に拠点を移しての開催です。基調講演、各教科等の分科会と授業技術のワークショップ、シンポジウム、特別講演まで、全てのプログラムを好きなときに何度でも閲覧することができるのです。
前回のレポートでは、分科会の様子をお伝えしました。
今回は、全体会の様子をレポートします!
>第24回「教育セミナー」参加申し込みはこちらから(2021.3.21締切)
シンポジウムの様子をレポート!
今回のシンポジウムテーマは「深い学びをどのように実現するか」。
シンポジストは、市川伸一先生(東京大学 名誉教授)、北俊夫先生(一般財団法人 総合初等教育研究所参与)、邑上裕子先生(明星大学 客員教授)の3名の先生方。
コーディネーターは帝京大学教職員大学院教授の清水静海先生です。
まず最初は、北 俊夫 先生による「基調提案」。
「深い学びを実現する授業の在り方」について、
1「学びが深まる」とは、どういうことか。
2「深い学び」を実現するための指導方法
3「深い学び」の学習評価
という3点に整理して、提案が行われました。
「深い学びを実現するということは、教師本来の仕事であり、決して特別なことではない」という言葉には、はっとさせられます。
基調提案のあとは、各シンポジストの先生方からの発表と、各分科会からの研究発表がありました。
邑上 裕子 先生からは、小学校の学校現場での成果と課題が発表されました。
国語科での「話合い」の学びが、他教科等でのすべての学び方の基盤になっているという指摘、また、各分科会からの発表を受け、各教科で使う「言葉」には、各教科の特性に応じた違いがあるという指摘は、カリキュラム・マネジメントを考える上でも、非常に重要なものと感じました。
市川 伸一 先生からは、「教えて考えさせる授業」で学びを深めていくプロセスが、具体的な事例と共に紹介されました。
大人でも7〜8割の人が間違えるという「ニンジン問題」の事例はたいへん興味深いものでした。
教師側が教えることと児童生徒の自発的な活動とのバランスをどう取れば良いかは、しばしば悩みの種とも議論の話題ともなるところですが、そんな場面に対する大きなヒントとなりそうです。
さらに、学びを深めるために必要な「主体的に学習に取り組む態度」として、「自己調整能力」についての貴重な解説もありました。今回改訂された学習評価が何を目指すものかを理解する上で、非常に重要なお話でした。
特別講演は・・・!
講師は、ニュースキャスターの国谷裕子氏。
「持続可能な未来を手渡すために」というテーマで、「SDGs」について、わかりやすくお話されています。
全世界的な課題であるのにも関わらず、平和で豊かな日本での日常生活からは、距離的な遠さと、時間的な遠さという「2つの遠さ」があるため、自分事として捉えにくくなっていること。しかし、同時に、日本の現実は、使い捨てプラスチックの排気量が、アメリカに次いで第2位 食料廃棄量も世界で3番目。
そんな日本は、「大量生産、大量消費、大量廃棄が行き着いてしまった社会ではないでしょうか」という問いかけには、胸をえぐられる思いになります。
では、SDGsに向き合うため、最も大切なことは何なのか?
国谷氏は、希望であると語っています。
未来に実現したい、その中で生活したい、生きたい世界。希望としての世界。
その世界から逆算して、今の社会をどう変革するべきか。
それを考えることが行動につながると言うのです。
だからこそ、教育の役割は、教育への期待は、大きい。
国谷氏の熱い言葉に、強い気持ちが湧いてくる講演でした。
教育セミナーを受講するには?【受付終了しました】
受付は終了しました。
第24回教育セミナーの申込みは、専用サイトで2021年3月21日まで受け付けています。
詳しい内容は、リーフレットがダウンロードできます。
教育セミナーの過去の開催実績については、一般財団法人 総合初等教育研究所のホームページに掲載されています。