「教員免許更新制」の見直しが始まります!
(2021.4)
3月12日に行われた中央教育審議会にて萩生田文部科学大臣より諮問があり、その中で、特に「教員免許更新制」については、他に先行して審議をするようにとの要請がありました。
そこで、この諮問の内容と、教員免許更新制に関わる取組みについてお伝えします。
「更新制」が始まったのは・・?
「教員免許更新制」は平成21年4月1日から導入されている制度です。教員免許状に10年間の有効期間を付し、更新には2年間で30時間以上の更新講習の受講・修了が必要とするものです。
不適格教員の排除を目的としたものではなく、「その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すもの」とされています。
しかし、講習に伴う負担の大きさや、目的通りの成果を上げていると言えない面があること、失念が失職につながってしまう点などの課題が以前から指摘されてきました。
更に昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響で有効期限の延長を行わざるを得ないなど、制度導入時には想定していなかった事態が生じました。また、今後、35人学級を進めていく際の阻害要因になる懸念も言われています。
諮問の具体的な内容は?
教員免許の在り方については、諮問の3番目に挙げられています。
教員免許は「社会の在り方が大きく変わり、学校や教師に対する期待が高まるとともに多様化する中にあっても、教師としての資質能力を確実に保証していくもの」でなくてはならないと前提した上で、「令和の日本型教育」を担うことのできる資質能力に応じた見直しとして、次の4つの項目に関する検討を求めました。
① 教職課程の内容について
② 学校外で勤務してきた者等への教員免許の在り方について
③ 学校種に応じた免許状の区分の在り方について
④ 教員免許更新制について
そして、④ 教員免許更新制に関しては、抜本的な見直しの方向について他に先行して結論を出し、必要な教師数の確保と資質能力の確保を両立することができるよう、できるだけ速く検証を完了するよう求めています。
文科省内部にも検討本部を設置!
諮問に先立つ1月19日、文部科学省では、萩生田文部科学大臣の下に「『令和の日本型学校教育』を担う人材確保・質向上に関する検討本部」が設置がされました。ここで検討する主な内容は、以下の5項目です。
① 35人学級を担う教員の確保
② 社会人等多様な人材の活用
③ 教職課程の高度化と研修の充実
④ 教員免許更新制の在り方
⑤ その他「令和の日本型学校教育」を担う人材確保・質向上を実現するために必要な事項
検討本部の設置にあたり、萩生田大臣は、現行制度のあり方につき「抜本的見直しも含めて検討する必要がある」と述べました。
教師の人材確保と質向上について、省をあげた検討が始まっています。