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中央教育審議会(第138回) 

(2024.6.25)

○令和6年6月25日に中央教育審議会(第138回)が開催されました。

・議題は以下の4件でした。

  1. 地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について(諮問)
  2. 「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」について
  3. 生涯学習分科会における議論の整理について
  4. その他

議題(2)「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」について

・冒頭に事務局より、学校における働き方改革の加速化、学校の指導・運営体制の充実、教師の処遇改善という3つの柱を一体的、総合的に推進するとの説明がありました。
・続いて、審議を行った初等中等教育分科会「質の高い教師の確保特別部会」主査の貞広 斎子委員(千葉大学教育学部教授)から「現時点で実現可能と思われる施策を提案した。特効薬がない以上、一つ一つを愚直に積み上げていくしかない」とのコメントがありました。

・植村 洋司委員(全国連合小学校長会会長)、青海 正委員(全日本中学校長会会長)からは、施策の確実な実施を強く求める意見が出されました。内田 隆志委員(全国高等学校長協会会長)からは、処遇改善を進めるための予算措置を働きかけて欲しいとの要望が出されました。

・各委員からは、教師が子供と向き合う時間をもてるような学校の支援体制の構築や業務改善を求める声が多く出されました。また、渡辺 弘司 委員(日本学校保健会副会長、日本医師会常任理事)は、教師の処遇改善に一定の評価を示しつつも、調整額の見直しにより長時間労働が正当化されることがないようにと釘を刺しました。

議題(3) 生涯学習分科会における議論の整理について

・令和6年5月24日に開催された生涯学習分科会(第131回)にて取りまとめられた「議論の整理」につき、報告と説明がありました。

・ 分科会委員より「教育振興基本計画のフォローアップについて」と「令和5年度全国学力・学習状況調査ウェルビーイングに関する分析報告書」についての発表が行われました。
また、事務局より「博士人材活躍プラン〜博士をとろう〜」について説明がありました。

・「令和5年度全国学力・学習状況調査ウェルビーイングに関する分析報告書」につき、報告した内田 由紀子委員(京都大学人と社会の未来研究院長・教授)に対し、児童生徒の主観的幸福感が4段階中で平均3半ばであるという点につき、PISA調査における児童生徒のウェルビーイングに関する分析と開きがある点について質問がありました。
内田委員は、両調査での質問項目が違うことを説明し、PISA調査で重視している人生の目的意識や自尊心、自己効力感といった項目について調査すれば、PISA調査と同様に低得点となると回答しました。また、同じ項目であれば、日本の大人たちも高得点とはならないだろうと述べました。

・生涯学習分科会の専門部会である社会教育人材部会でとりまとめられた「最終まとめ」の報告があり、社会教育の必要性と役割への期待が高まっている中、地域の実態に即した社会教育人材を確保するため、育成に関してオンデマンドを含む多様な機会を設けることや、人材ネットワークの活用が求められているとの説明がありました。
また、社会教育人材の活躍を促進するため、社会教育主事の配置促進や、社会教育人材のネットワーク化を進めることなどが述べられました。


議題(1) 地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について(諮問)

・盛山正仁文部科学大臣より、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について」の諮問がありました。

・諮問の理由としては、まず、現状認識として、現行の社会教育法昭和が24年に制定されてから75年が経ち、人口減少や少子高齢化、地域コミュニティーの希薄化、グローバル化の進展、DXの進展など社会の抱える課題がより複雑化している現代においては、社会教育に求められる役割やニーズが変化していると指摘しました。
こうした中で、令和5年6月に閣議決定された第4期教育振興基本計画で2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の担い手の育成と、日本社会に根差したウェルビーイングの向上を目指すという基本方針が掲げられたことと、これを踏まえて行われた第12期生涯学習分科会で取りまとめられた「議論の整理」の内容に触れながら、社会教育主事や社会教育士など社会教育人材の育成や活躍を通じて、障害者や外国人などの社会的包摂の観点も含めた社会教育の充実が求められていると強調しました。

・盛山大臣は、こうした現状を踏まえ、社会教育による「学び」を通じて、持続的な地域コミュニティの基盤を形成することや、社会教育施設の機能強化、社会教育人材の養成及び活躍促進等を通じた社会教育の充実を図る必要があると述べ、社会教育の新たな在り方を見直し、社会教育が果たすべき役割、担い手である人材、その活動、国・地方公共団体における推進方策等について、次の事項を中心とした審議を依頼しました。

  1. 社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策
  2. 社会教育活動の推進方策
  3. 国・地方公共団体での社会教育の推進体制等の在り方

・中央教育審議会では、この諮問に関し、生涯学習分科会で議論を進めていくとしています。

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