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全国的な学力調査に関する専門家会議(令和5年4月20日~)(第2回)

(2023.6.1)

○令和5(2023)年6月1日に「今全国的な学力調査に関する専門家会議(令和5年4月20日~)(第2回)」が開催されました。

・この専門家会議は、全国的な学力調査の結果を活用して、教育及び教育施策の成果や課題等を検証し、その改善を図るため、調査の実施方法並びに調査結果の取り扱い、活用の推進方策及び専門的な分析等について、専門家による検討を行うことを目的として設置されているものです。

・座長には、お茶の水女子大学名誉教授/青山学院大学客員教授の耳塚寛明氏が就任されています。
会議冒頭の挨拶の中で、耳塚座長は、今期はCBT化を進めることが重大な課題であるが、単に紙のテストをICT化するのではなく、より正確に子供の学力を測れるものにするべく検討をしていくと述べられました。

○今回の議題は、「令和4年度の学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究の最終報告について」でした。
以下の課題につき、令和3年度調査(悉皆調査、経年変化分析調査、保護者に対する調査)で得られたデータに対する追加分析を実施したものです。

A.保護者に対する調査の結果を活用した専門的な分析
・家庭の社会経済的背景(SES)と学力との関係に関する調査研究 
・効果的な学校等の取組やコロナ禍における児童生徒の学習環境に関する調査研究

B.経年変化分析調査及び本体調査の結果を活用した学力の経年変化に関する専門的な分析
・経年変化分析調査を活用した、平成28年度と令和3年度の学力の経年変化に関する比較・分析

○各課題の研究受託者より、研究成果の発表が行われました。

■家庭の社会経済的背景(SES)と学力との関係に関する調査研究
(受託者:福岡教育大学)


○発表資料
https://www.mext.go.jp/content/20230531-mxt_chousa02-000030189_03.pdf

○保護者の学歴、年収と子供の成績について
・保護者の学歴や年収、年齢が全体に上がっている。
・保護者の学歴や年収に加え、保護者の教育期待に交互作用がある。

○教育支出の「二極化」が進んでいる。
・「5万円以上」「3万~5万円未満」が増加する一方,「まったくない」も増加。
・教育支出とは、塾の他に水泳教室などの稽古事も含む。

○ジェンダーと学力について
・全てのSESで、女子の方が成績がよい。
・「数学が得意か」という質問に対し、女子の方が「苦手」という答えが多い。
・Highest SESの女子が最も成績がよく、Lowest SESの男子が最も成績が悪い。これは先進国全てで観察されている。

○経年変化分析調査+保護者に対する調査
・推定方法にも依るが、中学校の英語が、最もSESと相関が高い。
※全体的に,正答率による推定は「格差」を過小推定する傾向がある。

○まとめと今後について
① コロナ禍であったにもかかわらず、学力格差は拡大していない(縮小もしていない=維持されている)。
② 年収だけでなく、さまざまな格差(保護者の学歴・世帯年収・ジェンダー・外国にルーツを持つ子ども等)に注目していく必要がある。
③ 「保護者に対する調査」「経年変化分析調査」を同時に扱う分析手法の開発と,「英語の格差」の追究。

○比較可能な調査を淡々と実施し続けたからこそ,コロナ禍を経ても日本の学力格差が変わっていないことが明らかになった。今後も,過去と比較可能な「保護者に対する調査」を淡々と積み重ねる必要がある。

■保護者に対する調査の結果を活用した効果的な学校等の取組やコロナ禍における児童生徒の学習環境に関する調査研究
(受託者:国立大学法人お茶の水女子大学)


○発表資料
https://www.mext.go.jp/content/20230531-mxt_chousa02-000030189_04.pdf

○研究の趣旨
・家庭の社会経済的背景の影響を克服するためにはどんな取組(児童生徒、家庭、学校や教育委員会)が有効か。
・特に、コロナ禍という困難な状況において、家庭の社会経済的背景の影響を克服した児童生徒、家庭、学校・教育委員会にはどのような特徴があったのか。


○研究課題
1 家庭の社会経済的背景(SES)の低い層において学力面で成果を上げている児童生徒・家庭の分析[統計分析」
2 SESの低い層において学力面で成果を上げている学校・教育委員会等の取組の分析[統計分析][事例研究]
3新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業期間中の家庭の取組や学習環境等の状況に関するSESを踏まえた分析[統計分析]
4 コロナ禍にあっても、SESが低くとも学力面で成果を上げている児童生徒・家庭の分析[統計分析]
5コロナ禍にあっても、SESの低い層が学力面で成果を上げている学校や教育委員会等の取組・対応についての分析

○報告項目

1.授業外学習時間(努力)は学力格差を緩和するか?【統計分析】
・SESを統制しても努力の学力への効果は確かに存在するが、家庭の社会経済的背景による影響は強く存在している。

2.「SESの低い層において学力面で成果を上げている児童生徒(=SESを克服している児童生徒=レジリエント児童生徒)」の特徴は?
・保護者調査から分析したところ、以下の項目に関連が見られた。
①規則正しい生活習慣
②自己肯定感や最後までやり抜く力などの非認知能力が高い
③幼少時の絵本の読み聞かせ経験

3.臨時休業期間中の子どもの学習内容の理解度は、その後の学力とどう関連しているか?
・休業期間中の学習内容理解度は、1年後の子どもの学力と正の効果を持つ。

4.臨時休業期間中の学習内容の理解度には、どのような要因が関連しているのか?
・特に低 SES の子どもの理解度に対して、学校の先生による丁寧な対応がプラスに働いた。

5.コロナ禍におけるレジリエント児童生徒の生活の特徴はどのようなものだったか?
・計画的な学習を続けられた。
・学校の課題で分からないことを自分で調べていた。
・レジリエント児童生徒の通う学校は、自由研究や自主学習ノートの課題を全校で実施していた割合が高い。
・レジリエント児童生徒の保護者は、オンライン教材の使用、課題の確認、学校以外の学習教材を探すサポートなどを行っていた。
・ただし、休業期間が長い学校(小学校20日以上)ではレジリエントな児童生徒の割合が低くなる。

■経年変化分析調査及び本体調査の結果を活用した学力の経年変化に関する専門的な分析
(受託者:東北大学大学院)

○発表資料
https://www.mext.go.jp/content/20230531-mxt_chousa02-000030189_05.pdf


○研究の目的
・平成 28 年度・令和 3 年度の経年変化分析調査および本体調査のデータを用いて、等化および対応づけ分析を行うことで、本体調査データの年度間比較を行う。

○研究の趣旨
・本体調査は経年変化を行えるような仕組みになっていないが、影響力の大きさを考えると、なんらかの形で経年変化が必要である。
そこで、本体調査における「正答数得点」を用いた年度間比較を試みた。


○分析の流れ

○意見交換、質疑応答
以下のような意見がありました。

・コロナ禍でも学力が下がらなかったという点で、学校は頑張ったなと感じた。
・今回の学習指導要領が非認知能力を重視している意義を改めて感じた。





▶︎関連リンク
全国的な学力調査に関する専門家会議(令和5年4月20日~)(第2回)議事要旨


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