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教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ(第2回)

(2022.4.25)

○令和4年4月25日に「教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ」の第2回目が行われました。

・このワーキンググループは、令和3年1月中央教育審議会答申を受けて設置された「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の下部に位置しています。

・本ワーキンググループの主な検討事項は、以下の3点です。
(1)令和6年度からのデジタル教科書の本格的な導入の在り方
(2)デジタル教科書やデジタル教材、関連するソフトウェアの適切な活用方法
(3)その他

・第1回目は、令和4年3月23日に開催されました。

○今回の議題は次の4点でした。
(1)有識者ヒアリング(バトラー後藤裕子教授)
(2)高橋委員御発表
(3)デジタル教科書の在り方について
(4)その他

議題(1)有識者ヒアリング「デジタル時代の読解」

言語学者のバトラー後藤裕子教授(ぺンシルバニア大学教育大学院)より、アメリカでの調査や実例を踏まえたデジタルと紙での読解力、認知スタイルの違いに関するレポート発表と、質疑応答が行われました。

○紙とデジタルでの理解力を比較すると紙の方が成績が良い。

・ただし、これは紙と同じ表現をデジタル上に再現させた場合の成績であり、動画などデジタルならではの表現方法を活用した際にどうなるかは比較できていない。

・多くの児童・生徒は、幼少期よりデジタルに親しんでいる。そのため、大人世代とは、認知スタイルそのものが違う可能性もある。

○デジタルでの情報処理能力は、言葉の熟達度により差がある。

・デジタル時代には、伝統的な読解を土台としながら、マルチメディア情報を処理できる新しい読解力が必要。

・多くの時間をデジタルメディアと共に過ごす子供たちは、テキストの中身をじっくり読むことに足りない部分がある、表面的にしか読めず、読みが浅くなっているという指摘がある。この点については、あえて深く読み取ることをを求めるような授業を行とよい。

○デジタルは使い方次第

・最終的に身に付けさせたい資質・能力を考えたとき、デジタルという選択肢を排除するのは時代に逆行している。デジタルは使い方次第である。学習者の認知活動やスタイルに合致したアプローチを大切にすべき。

・たとえば、情報に流されないためにはどうしたらいいかということを話し合うのは小学校低学年でも可能。高学年になれば、もっと積極的にデジタルの強みを取り入れた学習を進めていくのが適しているのではないか。

○まずは大人の方がデジタルリテラシーを身に付ける必要がある。

・デジタルリテラシーのない大人を子供たちはすぐに見抜く。その上で、どの情報がフェイクで、フェイクでないのか。情報過多の中で情報を見極めるようなアクティビティが求められる。

議題(2)高橋委員発表

高橋 純 委員( 東京学芸大学教育学部准教授)より「一人一人の子供を主語にする教科書/教材/ソフトウエア」と題する発表と、質疑応答が行われました。

○新しい道具は、新しい活用法と共に使うと効果が得られる。

・ICTを活用した教育を考える際に、固定電話から携帯電話への変遷が参考になる。
固定電話と携帯電話は、電話をする機能だけ取れば同じだが、携帯電話には、固定電話にはない多くの機能がある。さらに、一人一台の携帯電話が普及すると、人々の行動も変容してきた。
同様に、一人一台端末が定着したときには、授業の在り方も変わることが考えられる。

・紙に最適化された授業展開に端末を導入しても効果は限定的にしか得られない。

○未来の人々の創意工夫を喚起する基盤づくりが求められている。

・従来の活用法のみに基づく過剰な規制、決め打ちのシステム、利用者が創意工夫できないシステム、特定の考え方や価値観が全面に出たシステムには注意が必要。

・一人一台端末は始まったばかりなので、今の感覚で判断して未来の人を制限しないようにしたい。

○「知識の理解の質」を向上させることが、今回の学習指導要領改訂のポイント。

・孤立したバラバラの知識を得る段階ではドリルなどが便利だが、そこから知識同士をリンクさせ、ネットワークを作って構造化させていくためには「見方・考え方を働かせるアクティブラーニング」が重要。

○子供たちに付けたい力は「生涯にわたって能動的に学び続ける力」。

・自らの学習法に合った教材選択や学習環境を構築できる力を育成する必要がある。

・質の高い知識(リンクと構造化)は授業のみで身に付けることはできない。ICTを使った学び方を学ぶことも重要。

・「一人一人の子供を主語にする学校教育」という指導観に転換していく。

○ICTを活用した学習で重要なポイント

・ICTを活用する学習は、(1)情報を知覚 (2)認知、思考、判断等  (3)表現 (4)PCの処理 の4段階。このプロセスで、いかに頭をフル回転させるか(頭を素通りさせないか)が重要。

・孤立した知識で「知っているつもり」「わかっているつもり」になるのではなく、それらの知識を接続し、ネットワーク化していくための、見方・考え方の働かせ方を身に付けさせる。

○デジタル教材は、子供たち一人一人の活躍を支援するものに。

・一斉指導は、アウトプットを前提にしたインプットという位置付けに今後変わっていく。

・学習の個別化、個性化にも対応したさまざまな教材の提供基盤を整備する必要がある。

議題3 デジタル教材の在り方について

○事務局より、資料「新学習指導要領が目指す方向性と教科書・教材・ソフトウエアの在り方について(案)」の説明がありました。

・令和4年度における、小学校のデジタル教科書採択状況は以下のようでした。

<英語>
国公立ほぼ100% 私立33%

<英語以外>
小学校では算数が最も多く、次いで、社会・地図、国語・書写、音楽での導入率が高い。

算数30% 社会・地図15% 

国語・書写13% 音楽13% 

理科8% 家庭8% 保健5% 

図画工作4% 道徳3% 生活1%

○デジタル教科書・教材・ソフトウエア活用の在り方(叩き台)が示されました。

○意見交換では、各委員より、それぞれの立場からのデジタル教科書・教材・ソフトウエアの現状についての意見が出され、熱心な議論が行われました。
中でも、教科書や教材を提供している立場からは、次のような意見が出されました。

・教科書会社の作るデジタル教科書と連携して使われる教材と、教科書から飛び出した先にある教材を分ける必要がある。
学習指導要領コードにより国がリードして、デジタル教材会社を一同に解するなどして、コード利用をどう具現化するべきかを話し合っていくべき。

・今年4月の教材市場では、使用制限の影響もあり、紙ドリルが少し縮小傾向となった。
一方、紙ドリルに付属するデジタル教材は非常に人気が高い。

・現場の先生方は、紙であれデジタルであれ、これまで通り、自分で教材を採択したいと考えていると思う。デジタル教材選定のための仕組みづくりが必要である。

議題4 その他

○デジタルコンテンツとしてのデジタル教科書の配信基盤の整備について、事務局より資料が提示されました。

▶︎当日の配布資料はこちらです。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/089/siryo/mext_00002.html

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