文部科学省が組織改編!GIGAスクール構想は利活用促進フェーズへ
(2021.10)
文部科学省では、10月1日に初等中等教育局の組織改編が行われました。
GIGAスクール構想の前倒しにより端末の1人1台環境整備が概ね完了したことを踏まえ、初等中等教育局全体で学校のICT活用に取り組めるようにするためであるとのことです。
そこで、今回は文部科学省の新しい体制について紹介します。
情報教育・外国語教育課を廃止
8月に速報値が公表された「端末利活用状況等の実態調査 (令和3年7月末時点)」により、義務教育段階における学習者用端末1台当たりの児童生徒数が1.0人となったことがわかりました。
しかし、例えば、非常時等での端末の持ち帰り学習について、約66.5%の学校が「実施できるように準備済み」であるという一方で、約33.5%の学校が「実施・準備をしていない」もしくは「準備中」であることや、ネットワーク環境について、十分な接続速度を確保できていない、ネットワーク環境の事前評価の実施予定がないといった事例が見られることなど、今後、引き続き、改善・検討していく課題も多く見つかっています。
そこで、文部科学省では、学校におけるICT環境をスタンダードなものとして捉え、今後は、初等中等教育局を挙げてデジタル利活用推進や運用面の支援の更なる強化に焦点を当てた取組を進めていくことになりました。
これに伴い、これまでGIGAスクール構想などの施策を中心的に担当してきた「情報教育・外国語教育課」を廃止し、同課が担ってきた事務を初等中等教育局全体で所掌するよう組織再編を行いました。
学校デジタル化プロジェクトチームが始動!
改編後の組織と、学校教育の情報化の推進体制は、次のように発表されています。
GIGAスクール構想推進に関わる業務を初等中等教育局の全ての課において扱うようになると同時に、初中局内の総合調整業務を担う当面の司令塔として「学校デジタル化プロジェクトチーム」が新たに設置されました。
今後は、このチームが中心となって、教育分野全体のDXや教育データ標準、MEXCBT(メクビット)、学習eポータルなどを所轄する総合教育政策局DX推進室とも連携しながら、GIGAスクール構想を推進していくこととなります。
学校デジタル化プロジェクトチームは初等中等教育局各課との兼務も含めた30人体制で、これまで情報教育・外国語課の課長であった板倉氏がチームリーダーの任に当たることとなりました。また、これまで情報教育・外国語課の管轄であったGIGA StuDX(スタディーエックス)推進チームも所管し、全国の各教育委員会や学校現場での端末利活用の支援を行うこととなっています。
なお、ICTを活用した指導の推進に関する事務と、各教科等において個別最適な学びを充実する指導の推進に関する事務については、教育課程課において一体的に行うようにするとのことです。
修学支援・教材課を新設!
1人1台端末環境を今後も維持しながら利活用を推進するため必要となる、情報端末・ネットワーク環境の整備等に関する事務と、教材や教育用品の整備については、新設の「修学支援・教材課」が所管することとなりました。
今後のICT環境整備や教材整備指針の改訂などは、この修学支援・教材課が担うこととなります。通信費の支援や、将来的なBYOD(Bring Your Own Device)を見据えた場合に密接な関係を有する修学支援に関する業務についても、一体的に扱います。
修学支援・教材課は、家庭の経済状況にかかわらず教育を受ける機会を保障することが重要な課題となっていることを踏まえて設置されました。
「誰一人取り残すことのない、公正で個別最適化された学び」の実現を目指し、小学校から高校までの就学援助や修学支援金を所管していきます。
課長には、プログラミング教育、情報活用能力向上など、学校教育の情報化を推進してきた、もと情報教育振興室長(併)初等中等教育局視学官の安彦広斉氏が就任しました。
▶︎関連リンク
文部科学省組織令等の一部改正について(報道発表)
https://www.mext.go.jp/content/20211001-mxt_jogai02-000011640_001.pdf
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年9月24日)https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00193.html
GIGAスクール構想の実現に向けた整備・利活用等に関する状況について
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_00921.html
令和3年9月17日(金)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021091701.html