スタートカリキュラムのポイント
(2021.4)
スタートカリキュラムって、なに?
「スタートカリキュラム スタートブック」(平成27年 文部科学省 国立教育政策研究所 教育課程研究センター発行)には、次のように示されています。
小学校へ入学した子供が、幼稚園・保育所・認定こども園などの遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として、主体的に自己を発揮し、新しい学校生活を創り出していくためのカリキュラムです。
スタートカリキュラムが注目されるようになったのは・・?
学習指導要領に「スタートカリキュラム」という言葉が最初に登場したのは、平成20年の改訂の時です。生活科の学習指導要領「解説」に、以下のように記載されました。
児童の発達の特性や各教科等の学習内容から,入学直後は合科的な指導などを展開することが適切である(中略)大単元から徐々に各教科に分化していくスタートカリキュラムの編成なども効果的である。
入学当初の子供たちが小学校の環境にうまく対応できない状態がなかなか解消されず、授業が成立しなくなるなど学級が落ち着かない状態になる「小1プロブレム」が課題となっていたことが、その背景にあります。
さらに、今回の学習指導要領改訂では、
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた指導を工夫することにより、幼稚園教育要領等に基づく幼児期の教育を通して育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施し、児童が主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことが可能となるようにすること。
(小学校学習指導要領 第1章 総則より)
と示され、幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続についての重要性が、一層強調されています。
スタートカリキュラム設計のため参考となる資料は・・?
スタートカリキュラムの作成にあたって、文部科学省 国立教育政策研究所では、考え方と導入のメリット・方法、実践事例、カリキュラム・マネジメントなど1冊で分かりやすく説明したガイドブックを発行しています。
▶「発達や学びをつなぐスタートカリキュラム」
http://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/startcurriculum_180322.pdf
また、NHK for Schoolでも、新一年生の学校生活が楽しくなるような、教科の学習につながる数遊びや観察ゲーム、感覚をつかむための体を動かす遊びなどの活動を動画で公開しています。
▶ NHK for School(すたあと)
https://www.nhk.or.jp/school/seikatsu/start/
スタートカリキュラムとカリキュラム・マネジメント
スタートカリキュラムは、生活科を軸とした合科的、関連的指導を行うものであることから、カリキュラム・マネジメントの一環として取り組んでいく必要があります。
学校全体で意識を高め、幼小連携から教科横断的な接続、さらに小中連携へとつなげることで、学校教育目標の実現に向かって教育課程を整理することもできます。
具体的には、単元配列表を作って運用するのが効果的です。
(参考資料)
▶『「深い学び」を実現するカリキュラム・マネジメント 』(田村 学 著/(株)文溪堂発行)
スタートカリキュラムやカリキュラム・マネジメントの具体を明らかにしながら、単元配列表の作り方や運用の仕方についてまで、実例と共に分かりやすく示しています。
(参考リンク)
▶文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_001.pdf
▶文部科学省 幼稚園教育要領(平成29年3月)
https://www.mext.go.jp/content/1384661_3_2.pdf