「休日まとめ取り」と「新しい日常」。
学校は、どこに向かうのか?
(2020.7)
2020年7月2日に開催された中央教育審議会初等中等教育分科会では、これからの学校にとって重要な2つの観点を議題とした話合いが行われました。
1つは「学校における働き方改革(給特法改正を踏まえた休日の「まとめ取り」の推進)について」です。各自治体が導入する場合に指針となる、変形労働時間制の導入に向けた「教師の休日まとめ取り」に関する文科大臣指針案も示されました。
もう1つは、ICTの活用や、対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化による授業と、それを実現する教室の在り方についてです。
そこで、今号では、今後の学校の在り方を考える上で重要なポイントとなる点をご紹介致します。
休日まとめ取りの条件は
教員の「休日まとめ取り」は、自治体が選択的に導入できる制度です。実際の導入は学校単位で、導入した学校の校長が個々の教員と話合い、まとめ取りを適用すべきか決めることとなっています。
文部科学省より提示された指針(案)では、各自治体の教育委員会に対し、夏休みなど長期休業期間中に休日のまとめ取りをする場合は、対象とする期間中の時間外在校時間につき「1ヶ月42時間以内、1年間320時間以内」を上限とするよう求めるとしています。更に、タイムカードによる記録等の客観的方法により在校時間を把握することや、正規の勤務時間を超える割り振りをする場合は期間に留意するなどの措置を講じるよう、校長や教育委員会に求めることも明記されています。
意見交換では、地域によっては複雑な制度となることからしっかり説明してほしいという要望や、タイムカードの普及など条件整備が非常に重要という指摘がありました。
WITHコロナと「学びの保障」
審議では、2つの資料を踏まえた話合いが行われました。
1つは文部科学省側より提出された「新型コロナウイルス感染症を踏まえた、初等中等教育におけるこれからの学びの在り方について~遠隔・オンライン教育を含むICT活用を中心として~」。もう1つは、有志委員より提出された「『ポストコロナ』を見据えた新しい時代の初等中等教育の在り方について」です。いずれの資料においても、ICTを活用しつつ、教師による対面指導と遠隔・オンライン教育を組み合わせることで、児童生徒の学びを保障するとの見通しが示されました。有志委員からは、臨時休校時の児童生徒の姿から見えた課題として、「ICT整備などデジタル化に加え、学習様式の転換と関係性の構築が必要」と、一歩踏み込んだ提言も行われました。
意見交換では、各委員から休業中の実体験に基づく様々な角度からの意見が提出されました。たとえば、「オンライン化が進んでいる学校とそうでない学校、使いこなしている先生とそうでない先生の実態が、児童生徒の成果と共に明らかになった」「折角始まっていた『主体的・対話的な学び』が、オンライン授業で一斉指導に戻ってしまった学校がある」という報告や、「現状の学校は、授業の継続計画といったところに弱さがある」という指摘、さらに、「消毒作業が先生方の負担になっている。サポート人材バンクの対応を迅速化してほしい」といった要望も出されました。