教育データの利活用に関する有識者会議(第18回)
(2023.7.19)
○令和5(2023)年7月19日に「教育データの利活用に関する有識者会議(第18回)」が開催されました。
・本有識者会議は、児童生徒一人一台端末環境の実現に向けた取組が進められる中、誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの力を最大限に引き出すことに資するよう、教育データの効果的な利活用を促進するために必要な方策について具体的な検討を行うことを目的とし、令和2(2020)年7月に設置されたものです。
・座長には、東北大学大学院/東京学芸大学大学院 堀田龍也教授が就任されています。
・これまでの成果としては、令和3(2021)年3月に「論点整理(中間まとめ)」を発表し、教育データの定義、目的、原則、視点などをまとめた上で、検討すべき論点を提示しました。
・また、令和5年3月に開催された、前回(第17回)では、「教育データの利活用に係る留意事項(第1版)」の取りまとめを行いました。
・会議の冒頭、堀田座長より、今回は、3月の「留意事項」取りまとめを経て、今年度再始動としての1回目であるとの挨拶がありました。
・藤原教育DX推進室長からは、教育データ利活用の具体的なルールやツールについては個別の会議体を設けて検討すること、本会議には、各会議体からの報告を踏まえて、教育データ利活用によりどういった効果が得られるかなど、統括的な議論を期待するとの方針説明がありました。
議題(1)教育データ利活用の推進について
各関係団体からの報告が行われました。
○文部科学省 総合教育政策局 教育DX推進室より
「MEXCBT・EduSurveyの現状について」
<MEXCBT>
・現在、公立小学校の70%超、公立中学校のほぼ全てが登録(ほぼ全ての自治体、約2.5万校、児童生徒等約800万人が登録)【令和5年7月現在】
・地方自治体の学力調査等におけるMEXCBT活用事例紹介
<EduSuevey(文部科学省WEB調査システム)>
・教育委員会や学校等を対象とした調査において、クラウド上で回答することによる調査集計の迅速化、統合作業の削減による教育委員会等の負担軽減にも資するシステムとして開発。
・令和4年度においては40の調査を試行。令和5年度は約80の調査を実施予定。
○ICT CONNECT 21 石坂芳実氏より
「学習eポータル標準化推進事業」
<これまでの経緯>
・2020年から検討を開始。文部科学省の事業として標準モデルを公表。
・ICT CONNECT 21において、事業者、研究者、学校関係者により、学習eポータルの標準モデルや技術規格などを検討。
・令和5(2023)年3月に標準モデルver.3.00公表
<デジタル庁教育データ連携事業との連携>
文部科学省学習eポータル標準化事業の一環として、学習eポータル標準モデルVer.3.00α (ドラフトのアルファ版) を公開
・ 学習eポータル、学習ツール、校務支援システムそれぞれの提供事業者である30社のデジタル庁事業参加事業者が、標準モデルに基づいて機能を実装
・並行して、製品・サービスが標準モデルに基づいて動作するかを検証するための、接続テスト環境を構築
・参加事業者は接続テスト環境で正しく実装されて相互運用性が確保されるかを確認
・これらのプロセスで浮き彫りになった課題や知見を標準モデルに反映させて精緻化
・実装や接続テストのレポート、サンプルコードを収集して将来の実装をサポート
○みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社デジタルコンサルティング部より
「MEXCBTデータ等の効果的な分析活用に関する調査研究」成果報告
<公募要領における事業要旨・委託内容>
・事業の趣旨:「GIGAスクール構想」による「1人1台端末」環境を踏まえ、全国の学校の教師及び児童生徒が活用できる公的なCBTシステム(以下「MEXCBT」という。)で得られたデータ等の教育データの分析活用案等を示す。
・委託内容:MEXCBTデータ等の教育データの分析活用案や活用方策、具体的な分析活用イメージ(仮説)を示すこと。
<成果概要>
・教育データ利活用は「様々なステークホルダーによるPDCA」に寄与すると期待
・分析活用イメージ仮説を作成
○事務局より
「令和5年度の教育データ利活用に関する取組について」
議題(2) 中央教育審議会の最近の動向について
○事務局より、令和5(2023)年4月に中央教育審議会 初等中等教育分科会にて設置が決定された「デジタル学習基盤特別委員会」について説明がありました。
・この特別委員会は、デジタル学習基盤の整備 ・充実やそれを活用した教育のデジタル化の推進について調査審議を行うことを目的としています。
・特別委員会における主な検討事項は以下の通りです。
(1)学校ICT環境の整備やその活用推進の在り方
(2)デジタル教材の在り方
(3)教育データの利活用や教育情報セキュリティの推進方策
(4)児童生徒の情報活用能力の育成・把握の在り方
(5)校務DXの推進方策
(6)教育行政調査の電子化・クラウド化の推進方策
(7)その他
○現在、上記の検討事項の中でも、特に、新たなICT環境整備方針の策定等についての検討が急務となっています。
○具体的には、以下の内容についての検討が求められています。
① 1 人 1 台端末を導入した際の各自治体の調達方法・内容(購入・リース、単独調達・共同調達、保守契約や付属物品)やコストについては、どのような評価ができるか。
② ①の評価を踏まえ、GIGA スクール構想第 2 期における環境整備の方向性について、基本的な考え方はどのようなものか。(特に以下の観点には留意)
・一人一台端末について、故障リスク等も念頭に置いた標準的な整備の在り方
・今後の通信負荷増を視野に入れたネットワーク整備の在り方
・上記に関する調達方法の考え方(端末買取とリース、共同調達等)
・地方自治体の責任において確実に実施すべき事柄
○そこで、本特別委員会の下に「次期 ICT 環境整備方針の在り方ワーキンググループ」を設置し、次期ICT環境整備方針の在り方について検討を行うこととなったことが報告されました。
・ワーキンググループでは、GIGA スクール構想を踏まえた成果や課題等を検証し、特に専門的に議論すべき事項について審議をするとともに、引き続き教育の ICT 環境整備を進めていくために、現行の ICT 環境整備方針に替わる、令和7年度以降の新たな学校における ICT 環境整備方針の策定に向けた検討審議を行うとしています。
(図版はすべて文部科学省ホームページより引用しました)
▶︎関連リンク
教育データの利活用に関する有識者会議
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/158/index.html