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特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議(第14回)

(2022.9.26)

○令和4年9月26日(月曜日)に、「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議(第14回)」が開催され、本会議での審議のまとめ(案)について議論が行われました。

○この有識者会議は、令和3年1月に発表された中央教育審議会答申「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと, 協働的な学びの実現~(答申)」の中で、以下のような指摘があったことに応じて開催されることとなったものです。

「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する教育に関し,我が国の学校 において特異な才能をどのように定義し,見いだし,その能力を伸長していくのかと いう議論はこれまで十分に行われていない状況にある。」
(43ページ)

・第1回目は、令和3年7月に行われました。それから6回の会議を経て、令和3年12月に、中間まとめ(論点整理)が発表されています。

・また、令和4年7月25日の第12回会議において公表された「審議のまとめ(素案)」に対しては、意見募集も行われました。

○今回の会議では、これまで1年間に渡り審議されてきた内容の最終的なとりまとめが議決され、文部科学省 渡辺初等中等教育局長へ手渡されました。

・「審議のまとめ」提出にあたり、岩永雅也座長(放送大学学長)からは、全ての児童生徒の能力を引き出して個別最適の教育が実現されることを目指す議論になったこと、児童生徒を特別な数値で測るためのものではないことに触れながら、このまとめを今後の施策に役立ててほしいとのコメントがありました。

○1年以上に及ぶ有識者会議全体を振り返り、各委員からは、次のような意見や感想が述べられました。

・特定の分野の特定の子だけを取り出すというのではなく、多様性を認め合うということが根幹の哲学にあるのが重要な点。「審議のまとめ」でも、この哲学がサブタイトルに生かされている。

・個別最適の考え方のもとに、これまであまり光が当たってこなかった子に光を当てていくためのもの、一人一人の困り感に光を当てるものだというふうにまとまったのがよかった。

・今までにない視点で、チャレンジングな会議だった。
今まで着目されていなかった子に光を当てるという意味で、ダイバーシティやインクルージョンという現在の課題に応えるものになった。
一方、誤解もあるように思う。その一つが、「個別最適」ばかりが最近注目されている点。令和の日本型教育は「個別最適」と「協働的学び」の両輪である。

・一律の基準を設けないと決めたことは、ひとつの意思決定でよかったと思うが、現場の裁量に任せるものになっている点については自覚的であるべき。
今後はアセスメントツールを開発し、基準を明らかにしていく必要があるのではないか。
現場の先生の負担感が高くなりすぎないように、中長期的な計画を立てていくべき。

・哲学や文化が大事。
これまでの学校や社会は「取り出し型」の考え方だったが、これからは、そうではない。
多様な状態で一律に同じことをするのではなく、多様な状態の人が取り出されないで一緒にいるということが大事。
この「審議のまとめ」を出すことで、考え方=文化が明らかにされた点に意義がある。
特定の人だけを取り出すのではなく、一緒にいること。可能性を否定しないこと。
必要なのは「弱さが受け止められる社会」で、それを実現できる仕組みや制度の構築が今後求められる。

※「審議のまとめ」は、以下から閲覧することができます。(PDF)

特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する 学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ 
~多様性を認め合う個別最適な学びと協働的な学びの 一体的な充実の一環として~ 

https://www.mext.go.jp/content/20220928-mxt_kyoiku02_000016594_01.pdf

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