「道徳と特別活動」編集部に突撃レポート!(1)
(2021.11)
小学校の思い出と言うと必ず話題に上がるのは・・・
遠足。運動会。学習発表会。クラブ活動、係活動。入学式や卒業式。
友だちと力を合わせて頑張ったり、みんなで意見を出し合いながら何かを作り上げたりした、特別活動での体験が、大人になってからもずっと支えになっていると感じる人は、少なくありません。
今回、そんな【特別活動】を中心的に扱う教育誌があると聞いて、編集部を取材しました。
【特別活動】と【特別の教科 道徳】を二本柱としているそうですが、どちらも、最近特に重要性が指摘されている「非認知的能力」とも深い関わりのある内容です。
なんと、通巻450号を超える、伝統ある雑誌なのだそうです!
こんにちは!
今日は、【特別活動】と【特別の教科 道徳】を中心に扱う教育誌があると聞いてやってきました。
どうぞよろしくお願いします。
こんにちは!「道徳と特別活動」編集部です。
私たちは、小学校の先生方や教育委員会の先生方を対象に、
【特別の教科 道徳】と【特別活動】を二本柱とした定期刊行物を作っています。
1984年創刊の、とても伝統ある雑誌なんですよ。
1984年創刊!それはすごいですね。
どういった趣旨で創刊されたのですか?
利益度外視で良いから教育界に本当に資するものを作ろうということで、青木孝頼先生、成田國英先生を中心に、第一人者の先生方からご指導いただき創刊されたと聞いています。
趣旨については、それとつながってくるんですが、道徳や特別活動って、学校の教育活動の中で「本来の仕事」として取り扱われていないことがあるのではないかと、創刊号の巻頭言で青木先生が書かれています。
けれども、学校教育は、社会の一員としての望ましい生き方をできるような、人間性を育てることを目標にしているのだから、道徳や特別活動も、やはり「本来の仕事」なのである、と。
そんな道徳や特別活動の研究がより活発になることを願って、「道徳と特別活動」は創刊されました。
なるほど!
確かに、大人になってもずっと覚えている、学校時代の思い出って、特別活動のことが多いですね。
小学校時代の思い出というテーマでアンケート取ると、クラブ活動や学校行事が多く上がるんですよ。(注1)
そういったところにも教育的意義が表れていると思うんです。
また一方で、先生方からも、特別活動がすごく教師としてのやりがいにつながっているというお話をよく伺うんですよ。
おお!そうなんですか?
はい。
たとえば、学級会の話し合いがうまくいって何か決められたときや、学校行事で、皆がしっかりめあてをもって達成できたとき、それから、学級が一団となって何かやったとき。
「教師になってやりたかったことって、これだな!」と思ったという先生方、たくさんいらっしゃるんです。
自分のイメージしてた小学校の先生ってこれだったって。
だから、そういう意味でも、「本来の」という捉え方があっても良いのではないのかなと思うんですよね、やっぱり。
そういう学級にいれば、勉強も楽しくなるような気がします。
実際、今回の学習指導要領を検討する中での資料として挙げられていた事例なんですが、いわゆる荒れていた学校で、学級活動をしっかりやったら学習の成績も上がったというような結果も出ているのだそうですよ!(注2)
わあ!やっぱり!
でも、それはそうですよね〜
大人だって、友達もいない、居心地の悪いところで勉強したって、身に付かないわけですし。
安心感がないと学習効率も非常に下がってしまうわけですが、その安心感を生み出す、受容的な学級風土というものは、みんなで何かを作ったりみんなで何かを決めたりという、学級活動の「話し合い」活動を通して育まれる部分が大きいと思います。
道徳もまた、学級風土、学級経営とつながっていて、学級風土がちゃんと醸成されてると、みんなで思いを伝えやすいっていうようなことがあるそうなんですね。
国語や算数の授業で、いきなり「間違ってもいいよ」とか「発言していいんだよ」「間違ってもいいんだよ」と言ったって、やっぱりなかなか間違えられないと思うんです。
でも、特別活動や道徳だったら、自分の考えをどんどん言っても大丈夫なんです。
多少おかしなことを言ってしまったとしても、それは間違いじゃなくて、それをみんなでまた考えて、より良い考えにしていこうという場ですから。
そうやって醸成された受容的な雰囲気、学級風土っていうのが、教科学習の場でも「間違っても大丈夫」という雰囲気づくりや、友達同士で教え合う学習とか、そういったものにつながっていくんじゃないかなと思っています。
今のお話から、受容的な雰囲気の学級で、道徳と特別活動が両輪として働いているイメージがわきました。
そうか!だから「道徳と特別活動」なんですね。
つい先日のインタビューでも、先生が学級経営をしっかりされていて、学級をしっかり見ていると、自然とその学級の子供たちに対応した学習指導案ができて、子供たちの実態に合った授業ができるというお話が出たところなんです。
特別活動で耕した学級風土の上で、特別の教科 道徳をやることで、さらに心が耕され、成長するという感じで、まさに両輪なんですね。
なるほど〜!
道徳と特別活動って、大事なんだなあと改めて実感してきました。ありがとうございます!
それでは、次は、紙面作りについて教えてください。
まず、すごく素朴な疑問なんですが、1冊あたり何人くらいの方が執筆しているのですか?
連載と特集を合わせて、だいたい20人前後です。
特集は、先ほどもお話したように、道徳と特別活動を交互に扱うようにしているほか、「ICT」など、教科領域の枠を超えて共通する教育課題をテーマにすることもあります。
20人!それはすごいですね。
この1冊で、20人もの先生方の考えに触れ、指導を受けられるっていうことですものね。
はい。しかも、本当にありがたいことに、連載については、歴代の調査官が必ずご執筆くださっているんです。
既に変わられた前調査官でも、赤堀博行先生は現在も連載してくださっていますし、宮川八岐先生もずっと連載されてましたし。
先生方の、この雑誌にかける思いの大きを感じます。
教育業界の中で、重要な一端を担っているということですね。
特集の方では、基本ベースとして、
大学の先生方に総論を、そして、学校管理職の先生方を中心に各論や総論各論に関わる部分の論文を書いていただく形です。
実践例のところは、各地の頑張ってる先生方に、ご自身が学級で行っている実践の紹介を書いていただいています。
それを毎号って、けっこう大変そうな気がするんですが・・・
執筆者の方たちは、どうやって見つけているんですか?
やっぱり、普段から、かなりアンテナを張っているのでしょうか?
そうですね、各地に研究母体があるので、そこの会長先生や研究主任の先生方にご相談申し上げて、目立つ活動されている方をご紹介していただくのが基本ですが、
特に、実践例ですと、研究会等でのご発表を拝見して、この方にぜひ、と思ったら、学校に直接お電話してお願いすることも多いです。
ただ、ここ2年ほどは、新型コロナウイルス感染防止の影響で研究会自体が開催されなくなっていますので、調査官の先生からご紹介いただくことも増えています。
コロナの影響がそんなところにも!
あれ?この記事は??
あ、これは、今年度連載している「子供の心のSOSに気付く」というシリーズで、教育学と臨床心理学を専門にされている先生にご執筆いただいています。
道徳と特別活動の専門誌という観点からは異業種になるんですが、そういった方からの新しい視点で、学級経営や学校経営に役立つような内容も紹介していきたいと考えて企画しています。
ストレス基礎講座なんて、わたし自身も興味深いです。
読者からの反応はどうですか?
やっぱり興味おもちいただけてるみたいで、校長研修とか管理職研修とか使ったらすごく役立つと思いますといったお声をいただいています。
やっぱりそうですよね。
子供の自殺率が高くなっているという報道を、わたしも見ました。悲しいです・・・
はい。そして、実はそのことは、去年の段階で調査の結果は出ていたので。
こういった内容を発信することが、私たちにできることというか、学校でお役立ていただけるのではないかと考えたというわけなんです。
なるほど!
時事ネタではないですが、今の時代に合った企画ということですね。
そうです。
以前だと、クレーム対応の講師をされている方に、保護者対応について連載していただいたこともあったんですよ。
教育の専門誌というから、カチカチにお固いイメージでいましたが、
実際には、かなり幅広いんですね〜!
ありがとうございます!
いろいろ意欲的に取り組んでいきたいと考えています。
うわー!めちゃくちゃ興味深いです!
と、いうことで・・
次回は、さらに深掘りしたところのお話をインタビューして参ります。
特集企画の考え方や、編集部「中の人」たちのリアルなお話なんかも、こっそり教えていただきますね。
どうぞお楽しみに!!
注1 学校教育に関する意識調査(平成15年度)の「学校生活で楽しいこと」の調査結果より
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/04010601.htm
注2 教育課程部会 特別活動ワーキンググループ(第1回)配布資料9より
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/066/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/08/1364981_1.pdf
▶︎「道徳と特別活動」についてはこちらをご覧ください。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281702462/