小学校高学年における教科担任制の在り方についての専門会議
(2021.6.11)
○令和3(2021)年6月11日に、「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議(第3回)」が行われました。
○中央教育審議会で答申された「令和の日本型教育」のうち、小学校高学年における教科担任制の在り方について話し合う専門会議です。
・本検討会議は、中央教育審議会初等中等教育分科会「新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ」(令和元年 12 月)の中で「義務教育9年間を見通した指導体制の整備に向けて、小学校高学年の児童の発達の段階、外国語教育をはじめとした教育内容の専門性の向上などを踏まえ、令和4年度を目途に小学校高学年からの教科担任制を本格的に導入すべき」とされていることを受けて設置されました。
・小学校高学年からの教科担任制の導入等に向け、教職員定数の確保の在り方について専門的・技術的な検討を行うことを目的としています。
・令和2年10月に第1回目の会合が行われ、今回は第3回目でした。
○議題1として、「令和2年度 義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究」の報告が行われました。
・教科担任制を実施する際の教職員配置や支援体制の在り方の検討に資することを目的として、国内外の文献調査と、9年間を見通した指導体制を整備している先導的な自治体等を対象とした事例調査が行われました。
・調査結果は、①授業の質向上 ②児童の多面的理解 ③教員の負担軽減 ④小中連携の4つの観点で分析・整理が行われました。報告によれば、文献調査、具体的な事例調査の両方において、全ての観点で良好な成果が得られたとのことです。
・委員からは、効果を測る指標として児童のテストスコアを用いている例が多いが、「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」などテストスコアに表れない面も測れる指標が必要ではないかという意見や、答申には「系統的な指導」を教科担任制の目的としているのに、授業時数が同じである理科と社会での交換授業による教科担任が多い実態は、目的に対してちぐはぐになっていないかという指摘がありました。
○議題2「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について」では、事務局より、令和3年度における予算等に関する資料と、ここまでの審議を整理した「論点メモ(案)」が提示され、意見交換が行われました。
・「論点メモ(案)」は、以下の4つの項目で整理されています。
1. 小学校高学年における教科担任制推進の考え方
2. 優先的に専科指導の対象とすべき教科について
3. 専科指導の専門性を担保する方策について
4. 学校規模や地理的条件に応じた教職員配置の考え方について
・専科指導の対象とする教科に関し、全連小の調査では、理科、英語、音楽を希望する校長が多いとの報告がありました。
・先進的に専科指導に取り組む自治体の委員からは、理科の専科が8割以上の学校で入っている自治体において、全国調査で「理科が好き」と答える児童が平均以上である事例が紹介されました。また、研究指定校で体育を専科にしたところ、運動好きの子供が増え、体力テストの結果も向上したことや、準備にかかる時間が合理化されたことで働き方改革にも成果があった事例の紹介もありました。
・どの教科に専科を導入するかは、学校ごとの課題に応じて校長のマネジメントで選定するのが良いという意見がありました。それにより校長のマネジメント空間が広がり、校長が手腕を発揮できる場面が多くなることで、各学校ごとの特長ある指導が可能になるとのことです。
・高木座長からは、児童にとって、学校生活がより豊かになったり、学校が好きになるような制度設計を目指して今後も検討を続けていきたいとの方針が示されました。
・次回の会議は7月21日です。今回の議論をもとに、事務局で論点整理を作成し、検討を行う予定です。
▶参考リンク
「令和2年度 義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究」調査研究報告
https://www.mext.go.jp/content/20210611-mxt_zaimu-000015519_2.pdf
「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に係る 論点メモ(案)」
https://www.mext.go.jp/content/20210611-mxt_zaimu-000015519_4.pdf