―ICT端末等を活用した教材準備から実践後の共有まで―

東京都練馬区立光が丘春の風小学校 教諭
平原 香江
授業実践 第三学年
はじめに
道徳授業を行う際の教材提示は、とても大切だと考える。まず児童の興味や関心を引き出し教材の世界に浸らなければ、その時間のねらいを達成することは難しいと考えるからである。また、児童が問題意識をもったり主体的に考え話し合ったりできるように、教師が児童の実態に合った指導方法を考えていかなければならない。
児童が道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考えたり、自己の生き方についての考えを深めたりするためには、どのような工夫ができるのかを考え、本実践ではICTを活用した実践を行った。
授業実践 第三学年
節度のある生活のよさを考え、自分でよく考えて行動しようとする心情を養う。
教材名 「黄金の魚」(出典「3年生の道徳」光文書院)
⑴導入の工夫
朝学習の時間などに「度をこすこと」について「欲張ってしまうことや、行きすぎたわがまま」と簡単に説明し、「今まで、欲張ってしまったことや、行きすぎたわがままをしてしまったことはあるかどうか」「してしまったときどのようなことを考えたか」のアンケートをとった(資料1)。導入では、このアンケート結果を電子黒板で提示し、道徳的な課題を児童が自分自身の問題として捉えられるようにした。その後、登場人物の挿絵を提示し、教材の世界への導入も合わせて行った。

⑵教材提示の工夫
①挿絵と色つき吹き出し
各場面の挿絵と登場人物の台詞をパワーポイントで提示した(資料2)。誰が話した言葉なのか分かるように、台詞の吹き出しには登場人物ごとに色をつけた。(おばあさんは黄色、おじいさんは水色)

②アニメーション
アニメーションをつけたところは吹き出しと挿絵である。場面が変わるときは白紙のスライドを挿れ、あえて間を取るようにした。
中心発問の場面絵ではおばあさんやおじいさんが後悔する気持ちを考えられるように、ほかの場面とは違うアニメーションにして、挿絵がゆっくり現れるようにした。
③三種類の波の音
おじいさんが黄金の魚におばあさんの願い事を伝えに行く場面が三回出てくる。その際、少しずつ波が荒れていく様子が描かれる。この波の様子を表現するために、穏やかな波音、少し荒い波音、嵐の日の波音を用意し、スライドに挿入した。児童が教材の世界に浸りながら場面の変化や登場人物の心情の変化を捉えられるようにした。
プレゼンテーションソフトを活用した教材提示では、挿絵に動きや音声、文字を入力することができ、オリジナル教材を作成しやすい。しかし、多くの情報を提示することが必ずしも効果的だとは言えず、精選した情報の提示が想像を膨らませ、思考を深める上で効果的な場合もあることを常に留意しなければならない。
④授業準備の効率化
週に一時間の道徳授業に向けて、毎回凝った教材を一人で作るのは、とても大変である。私は授業準備の効率化を図る上で、デジタル化の推進と共有し合えるシステム作りが重要だと考える。一人一人の財産(時間を掛けて作った教材など)をみんなで共有し高め合うようにしていくことで、授業準備の効率化が図れるようになる。それには、個人ではなく学校全体で取り組むことが大切である。
⑷データ化して共有するよさ
プレゼンテーションソフトを使って登場人物のセリフに色を付けたり挿絵に動きを付けたり音を入れることで、児童を教材の世界へと引き込むことができる。また、中心発問で考えさせたい場面やセリフを印象付けることもできる。このように、教師の指導観や本時のねらいによって教材提示をアレンジできるところがICT端末等を活用した教材提示のよさだと言える。
また、教材をデータ化すると保管場所を取らなくてよくなる。そして、繰り返し何度使っても汚れたり壊れたりする心配もない。
手作り教材だと、作った先生が個人で所有することが多く、学校全体で共有することが難しい。とても手の込んだ手作り教材を「学校に寄付してください」とは、なかなか言いにくい。しかし、データ化された教材であればすぐにコピーすることができるので、凝って作った教材でも校内で共有し合うことが可能となる。






よくばりすぎない心 A[節度、節制]