【C[国際理解,国際親善]】見方を変えて気楽に取り組もう

―低学年「国際理解」の授業づくり―

熊本市立春竹小学校 教諭

長谷川 郁弥
(※前任校の熊本市立帯山西小学校での実践)
授業実践 第一学年

はじめに

 低学年の多くの児童にとって、国際理解の大切さを理解することは容易ではないだろう。私自身、他国の人々に出会ったときに声を掛けることに躊躇してしまう。言葉の面ではもちろんのこと、外見や行動など私たちとは異なる様子から戸惑ってしまう心の弱さがある。生活経験の少ない児童ならなおのことだろう。初めて出会う同級生の児童でも仲良くなるのに時間を要するが、相手の文化的背景が違えばさらに壁が高くなると考えられる。この壁を乗り越える力となる心こそ、C[国際理解、国際親善]の内容項目が果たす大きな役割の一つだと考えることができる。

C[国際理解、国際親善]の見方を広げてみる

 C[国際理解、国際親善]の授業を苦手に思う理由はどこから来るのだろうか。『小学校学習指導要領解説特別の教科道徳編』に示されている指導の要点には、この時期の発達の特性として「身の回りの事物が自国の文化なのか他国の文化なのかを明確に区別することは難しい」「他国の人々や他国の文化に親しむ経験が多くはない」とある。つまり、他の内容項目と比べ児童にとって身近ではないため、難しいと感じてしまうのではないだろうか。また、このような発達の段階にある児童にとって「国際理解、国際親善」について考えを深めるとはどういう状態なのかイメージすることが難しいことも考えられる。
 そこで、まずは内容項目から確認してみたい。C[国際理解、国際親善]について、低学年では、「他国の人々や文化に親しむこと」と示されている。中学年になると、ここに「関心をもつこと」が加わる。では、「親しむ」とはどういうことだろうか。デジタル大辞泉によると、「①親密に接する。親しくする。②いつも接してなじむ。」とある。これらを踏まえると、他国の人々や文化に触れ、「面白いな」「ほかにはどんなことをしているのか知りたい」という気持ちをもてるようにすることを目指したい。もう一つ意識したいことは、一つの授業で内容項目の指導の要点を全て押さえることを目指す必要はないということだ。内容項目は二学年毎に示されている。各学年で一回ずつ授業が計画されているとすると、二つの教材を通して考えを深めていけばよい。また、道徳科だけでなく、日々の学校生活の中にも他国の人々や文化に親しむきっかけはある。それらの経験を道徳科で結び付け道徳性を養っていく。このように柔軟に考えてみることで、苦手意識も和らぐのではないだろうか。

授業実践 第一学年

主題名

せかいのこどもたちとともに C[国際理解、国際親善]

ねらい

世界の子供たちの日常生活の写真を見て、私たちの生活との違いや似ているところを見付けることを通して、他国の人々には私たちとは異なる生活や文化があるが、子供たちの楽しそうな表情からそれぞれの文化のよさを味わっていることを感じ取り、他国の人々や文化に親しもうとする実践意欲を育てる。

教材名 「せかいのこどもたち」(出典:「どうとく1 きみがいちばんひかるとき」光村図書出版)

①ねらいとする道徳的価値について
 本時のねらいは、C[国際理解、国際親善]における「他国の人々や文化に親しむこと」について考えを深めるよう設定したものである。この時期の児童は、身の回りの事物が自国の文化なのか他国の文化なのかを明確に区別することは難しく、他国の人々や文化に親しむ経験が多くはない。そのため、特に他国の人々に対しての触れ合いについては、消極的になってしまうことがある。そこで、他国の文化に気付き、他国の人々に親しみをもったり、自分たちと異なる文化のよさに気付けたりするようにする。また、親しみや気付きを基に、他国の人々や文化に対する自分の思いを見つめ、さらに他国を知り、親しもうとする気持ちが高められるようにしていきたい。

②児童の実態について
 道徳科として初めてのC[国際理解、国際親善]についての学習である。本学級には外国籍の児童が在籍しているほか、入学前に海外で過ごした経験をもつ児童もいる。また、これまで生活科の授業の一環で、ALTを招き、出身国の学校の様子や食べ物などについて話を聞く機会があった。その後もALTを見掛けると積極的に声を掛け、挨拶を交わす様子が見られる。一方で、学校という限られた場所では積極的に声を掛けることができるが、校外で出会ったときに同じように接することはできるとは言えない。また、他国の人々や文化を積極的に知ろうとする児童は多くないと思われる。

①導入
 本校では、視点A〜Dを「四つの心」として表すとともに、内容項目を「心のパズル」というツールを使って児童に分かりやすい言葉で示し、道徳科を中心に全教育活動を展開している。導入では、「四つの心」の一つ「C主として集団や社会との関わりに関すること」を表す「帯西イエロー」と、低学年のC[国際理解、国際親善]の内容項目を端的に示す「世界の国の人や暮らし」を提示した。そこで、「世界の国の人や暮らし」についてどのようなことを想像するかと尋ねた。児童からは、「戦争をしている国があるってテレビで聞いたことがある」「その国にしかいない珍しい動物がいるよ」などという声があった。世界にはいろいろな人や暮らしがあることを確かめ、本時のテーマである「他の国の子供たちの生活の様子を見て、感じたことを話そう」と提示した。

②展開
 本教材には世界各国の子供たちの生き生きとした様子の写真が載せられている。写真を見て、何をしているところか、写真の子供たちはどのような話をしているのかを出し合った。例えば、みんなで昼食をとっている写真からは、「午前中の授業の話や昼休みの遊びについて話しているのではないか」という考えが出された。教材の中に入ってみることで、より身近に感じられたようだ。
 その後、私たちの生活と違うところ、似ているところについて尋ねた。違うところのほうが子供たちにとってすぐに目に留まることだろうと予想していると、実際、写真を見ている段階から「私たちと違うね」という声が聞こえてきた。違いを確かめた上で似ているところについて考えた。最初は「学校に行っている」「服を着ている」など見た目で分かるところが中心に上がったが、会話の内容を振り返ることで、「みんなとご飯を食べると楽しい」「遊んでいるときはみんな笑顔になっている」など気持ちの面からも似ている点を見付けることができた。
 これらを基に、展開後段では導入で掲げた学習のテーマについて児童の考えを出し合う時間を設けた。初めて見た世界の子供たちの様子を見て、「教室の様子は違ってもみんな勉強を頑張っていることが分かった」「給食じゃないけど、みんなでご飯を食べていると笑顔になっていくね」「知らない遊びだけれど、みんな楽しそうだから私もやってみたい」など似ている点で出てきたことを中心に考えたことを話していた。それらの意見を教師が「心のパズル」で整理し、C[国際理解、国際親善]がどのような心とつながっているのかを視覚的に確かめることができた。その後、今日の学習を通して考えたことを学習シートに書く活動を取り入れた。児童からは「今日の学習で他の国では違う遊びをしていることが分かったから、私も一緒に遊んでみたい」などの記述が見られた。

③終末
 終末では、童謡「小さな世界」の歌詞が映し出される動画を視聴した。多くの児童にとって耳なじみのある曲である。文化は違っても同じという歌詞に描かれた世界に触れることで、世界の人々と仲よくしていきたいという気持ちを高めるきっかけになることをねらった。

おわりに

 C[国際理解、国際親善]の授業は、児童の生活経験との関わりが多くはないため、難しく感じてしまいがちである。しかし、だからこそ児童は授業の中で初めて出合う新鮮さやそのとき感じた気持ちというものを中心に据えることができる。その気持ちを深めていく中で、他の国の人や文化をもっと知りたいという思いが生まれ、その積み重ねがC[国際理解、国際親善]へとつながっていくと信じたい。中学校までの九年間という長期的な視点をもち、その入門期でどのような心を養っていきたいのかを明確にしながら、目の前の児童と楽しみながら展開していくよう今後もよりよい在り方を探究していきたい。

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