【高学年】互いの意見を認め,実践までを見通した学級会の充実

千葉県船橋市立高根小学校

教諭 神田 真衣
実践紹介 第六学年

はじめに

 毎年、年度初めには「学級会オリエンテーション」を行い、学級会は学級全員の思いや願いについて話し合い、学級生活がより楽しく豊かになるように実践する時間であることを確かめたり、議題例について紹介したりしている。学級会にあまり慣れていない児童と話合い活動を行うときに感じる課題は、「話し合うこと1」が多数決のような雰囲気になってしまうことだ。発表の仕方は適切で、理由もしっかり述べているが、フロアの雰囲気から賛成の数で決めようとしているのが伝わることがある。しかし、議題が児童にとって必要感のあるものであり、「みんなで取り組みたい!」と思えるものが選定されていて、さらに実践のイメージの共有が十分行われているときは、話合いの質が変わり、内容に意識が向いているように感じている。また、議題が選定されたときから、いかに実践までを見通すことができているか、提案理由が明確で、学級の実態に合っているかということも重要であると考える。
 筆者は「話し合うこと2」で工夫を話し合うところに時間を多く使えるようにするために「話し合うこと1」は「くらべ合う」から行うことが多い。しかし、そこで「やることを決めるだけだから」と内容にこだわらないと、ただ「選ぶ」だけの話合いになってしまうのではないかと考える。「話し合うこと1」の意見が充実することで、決まったことが「話し合うこと2」に生かされるのではないかと考え、指導に当たっている。本稿では、事前の指導から「話し合うこと1」に重点を置いて、筆者が現在意識している、児童の意見がつながる話合いについて述べる。

実践紹介 第六学年

議題

「修学旅行でもっと楽しい思い出を作ろう」(令和六年九月実施)

提案理由

もうすぐ修学旅行があります。いろいろなところへ行ったり、見たりして楽しく学習する予定です。先生たちが考えてくれた内容だけではなく、自分たちで修学旅行について考えたり準備したりすることで、卒業までの六年一組だけの特別な思い出が増えるし、みんなと協力する機会も増えると思います。また、みんなで考えて取り組むことで、もっと笑顔が増える修学旅行になると思い提案しました。

 修学旅行前によく話し合われるバスレクなどについては、これより前の学級会で話合い、準備が進められている。今回の議題は、それ以外に二日間通して自分たちで創意工夫できることはないかという思いから生まれた議題である。

 話し合うことが決まったらアンケートを取り、計画委員が一人一人の意見を集計する。類似した意見は、提案者に相談しながらまとめたり、内容が分からない意見は、質問したりしながら全体に伝える前に計画委員がしっかりと把握できるようにする。今回の「話し合うこと1」は、「修学旅行二日間をより楽しくするため」の「何をするか」であったが、アンケートの結果を見るとレクの内容のような意見もいくつか見られた。そのため、改めてイメージの共有の必要性を感じ、朝の会で計画委員から実践についての再確認する時間を設けた。ここで学級全体のイメージの共有ができたことで、話合い活動もスムーズに行うことができた。
 アンケート結果の把握ができたら話合いのための短冊づくりを行う。短冊に意見を書いたら、計画委員全員で話合いの見通しを立てる。始めに賛成意見がたくさん集まりそうなものや合体できそうな意見の想定、反対意見や心配な意見が出されたときの受け答えなど、一つ一つの意見に対して丁寧に想定していく。計画委員と事前の打ち合わせを細かく行うことで、例えば話合いの際に合体意見が出なくても、話合いの流れから必要だと感じれば計画委員から提案したり、話が逸れた場合も司会が軌道修正したりしやすくなる。
 今回は「バッジ(目印)を作る」「写真ミッション」に意見が多く集まることを予想し、そのほかの意見の扱いについても確認し、話合いを行った。

 計画委員との打ち合わせ後、「話し合うこと1」で出された意見は事前に掲示しておき、話合いの前に学級全員が目を通せるようにして、出された意見について質問したり、共通理解を図ったりした。事前に掲示することで、休み時間などにも意見に対する自然な会話が生まれ、何に取り組みたいか、似ている意見はあるかなど、それぞれが検討しやすくなる。 今回は、「バッジ(目印)を作る」という意見が最初に決定となった(四十六ページ資料1)。事前のアンケートでも意見を書いていた児童が多く、計画委員も想定していた流れだった。そのほかの意見について、児童の話合いの実際の様子から意見のつながりについて考えたい。

●話合いの実際
(写真ミッションについて)
 「写真ミッション」がよいと思います。写真は思い出にも残ると思うからです。
 僕も「写真ミッション」がいいと思います。さんと同じで、それぞれの班が同じポーズで写真を撮ってきたりしたら思い出に残ってよいと思います。
司会 「写真ミッション」の意見が多いので決めてもいいですか。
フロア いいです。
 皆さん、「写真ミッション」にどのように取り組むか、イメージはできていますか。
 はい、お題を決めておいてそれぞれの班で写真を撮ってくるということです。
司会 みんなイメージが同じようなので、次に行きます。ほかに意見はありますか。
 僕は、「帰ってきたら写真を貼って思い出を残す」がよいと思います。今、「写真ミッション」も決まったし、それを帰ってから貼ったらよいのではないかと思いました。
フロア ああ、確かに。
司会 今の意見についてどう思いますか。
 私も、「写真ミッション」と一緒に「帰って来たら写真を貼って残す」がよいと思います。せっかく撮ったものを貼っておけば、卒業までの思い出になると思うからです。
司会 では、「帰ってきたら写真を貼って思い出を残す」を決めて、「写真ミッション」と一緒にやるということでいいですか。
フロア いいです。
「写真ミッション」が決まったあと、関連する「帰ってきたら写真を貼って残す」という意見がよいのではないかという発言があった。ただやりたいものを言うのではなく、活動をイメージして、似ているものや関連させられるものを考えた発言だった。司会もその案についてフロアに問うことで、多数決の雰囲気ではなく、内容についてしっかり比べ合う話合いになった。
「クイズ」と「修学旅行ミッション」については、始めはどちらにも交互に賛成意見が述べられるような雰囲気だったが、それを聞いていた一人の児童の発言により、どちらのよさも生かされるような合体案が生まれた。

資料1 本時の話合いの板書

(「クイズ」と「修学旅行ミッション」についての話合い)
 「クイズ」と「修学旅行ミッション」を合わせてもよいと思います。
 それってどういう感じになるのかな。
 例えば、ミッションの一つに東照宮のクイズを入れるという感じかな。
 ああ、それはよいかもしれない。
 司会さん、みんなの意見を少しまとめて聞いてみましょう。
司会 今のC1さんの「クイズ」と「修学旅行ミッション」を合わせるという意見について、みなさんどう思いますか。
フロア いいと思います。
 ミッション自体をクイズにして、答えが合っていたらクリアにするなどの工夫をするとよいかもしれないと思いました。
司会 今のような考えはどうですか。
フロア いいと思います。
司会 では、この二つは合体させて決定します。
(黒板記録が、吹き出しにメモを残す。)

 決まらなかったほかの意見については、司会からフロアに問い掛け、別の機会に生かせるように記録を残しておくということになった。「誰が一番楽しんでいるか」や「ほかの班とじゃんけん」は、「修学旅行ミッション」を考えるときに参考にできそうだという意見もあり、決まらなかった意見も最後まで大切に扱われた。
 今回の話合いでは、事前の計画委員の打ち合わせを生かし、司会がうまく話をまとめることができたが、合体案が出たときや合意形成が難しいときは早めに教師が助言し、やり方を教えたり、それぞれの意見を整理したりする必要がある。本学級でも、年度当初は教師が様々な助言をしていたが、学級会を積み重ねることで、教師が助言していたような内容を司会が言えるようになってきた。教師は見守り、自分たちで話合いが進められるようになってきたと言える。
 今回のように、どれがよいか選ぶ話合いで終わるのではなく、意見を合体させることの意味や効果、やり方についても自然と話ができるような司会の仕方や教師の助言を行うことで、実践を見据えた具体的な話合いにつながるのではないかと思う。

おわりに

 高学年になると委員会活動や学校行事の役割など、決められた活動も多く慌ただしく過ごしている。また、そのような活動では何となく自発的に活動できない児童も、学級会となると全く違う姿が見られる。本稿の児童のように学級会の積み重ねがない六年生でも、みんなで考え、実践することの楽しさを味わうことで大きな変化が感じられている。本実践についても、休み時間などに係ごとに進んで準備に取り組む姿が見られた。
 みんなの思いや願いを実現させることの楽しさ、少数派の意見でもとてもよいアイデアにつながることなど、学級会を行うからこそ得られるものはたくさんあると感じる。形式化した話合いにならず、目の前の意見を大切にした話合いを心掛けることが児童の意見をつなげることになるのではないかと考える。これからも「自分もよくみんなもよい」ことを考え、互いの意見を尊重できる学級活動の実践を目指していきたい。

(『道徳と特別活動』2024年12月号)