【二項対立】討議形式と連動させた板書の工夫

東京都江戸川区立下鎌田東小学校 主幹教諭

東 幸恵
授業実践 第六学年

授業実践 第六学年

主題名

「理解し合うために」 B[相互理解、寛容]

ねらい

自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、謙虚な心をもち、広い心で自分と異なる意見や立場を尊重しようとする態度を養う。

教材名 「『ダン』をどうする?」(日本文教出版「小学校道徳生きる力6」)

①ねらいとする道徳的価値について
 豊かな社会をつくるためには、多様さを相互に認め合い、理解しながら高め合う関係を築くことが不可欠である。
 しかし、つい他人の失敗や過ちを一方的に非難したり、自分と異なる意見や立場を受け入れようとしなかったりするなど、自己本位に陥りやすい弱さをもっている。児童自身が成長の途中にあることを考え、自らを謙虚に省みることについて考えさせたい。そこで、自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、謙虚な心をもち、広い心で自分と異なる意見や立場を尊重しようとする態度を養いたい。

②教材について
 目の見えない子犬(ダン)を拾った子供たちは団地で飼いたいと主張するが、団地の規則では飼えないことになっている。「子犬の命」と「団地の規則や住民の住む権利」との間で、様々な意見が出される。
 児童は、すぐに答えを出すことができない問題と向き合っていくことになる。様々な人々と関わり、そこに生じる問題を解決していくためには話合いが重要であり、互いに意見を伝え合い、意見を受け止める力が不可欠である。本教材を通して、相手の意見を受け止めるだけでなく、自分の意見が相手に伝わるように主張していくことの大切さや相手の意見や立場を尊重することの大切さを考えられるようにした。

①板書と話合い活動の工夫
 本教材を活用するために、子供役(D[生命の尊重])と役員役(C[規則の尊重])の討議形式で話し合わせた。途中、役割を交換してどちらの立場も考えさせた。その後、観客役の児童に話合いを見て考えたことを発表させた。
 また、互いの表情を見て話し合うとともに、教材の役に自己投影させて考えられるようにするために、教材の場面と同様に座席の配置をコの字型にした。

②授業構成と板書づくり
 児童が自分との関わりでねらいとする道徳的価値について考え、自己の生き方についての考えを深めていくために、(ア)~(エ)の流れで授業を構成した。

(ア)導入でねらいとする道徳的価値に関わる自己の体験を振り返らせ、どのような考えや思いをもっているか想起させる。
(イ)導入の体験を基に、問題意識をもたせる。
(ウ)教材を基に話し合い、展開前段の終わりに、問題(中心発問)に対する自分たちなりの答えを話し合わせ、その中から自分の納得解を見いださせる。
(エ)納得解を手掛かりに、ねらいとする道徳的価値に関する今までの自分を振り返らせるとともに、これからの自己の生き方について見つめさせる。

 この授業構成を基に、次の点に気を付けて板書を組み立てた。

●発問(短冊)、挿絵の位置
 子供、役員の考えを対比的に捉えさせ、問題(中心発問)を中心に置き、浮き立たせることにより、児童の思考を深めるようにした。導入は右端、展開の後半の発問は左端、中心発問を中心にする(資料)。
●短冊(画用紙)の様式や色使い
・縦書き・横書き
・ペン(チョーク)の色や記号等

資料 実際の板書

【導入】
 友達と意見が食い違って話がまとまらないとき、どのようなことを考えていますか。
 決まってすっきり楽になりたい。めんどうだな。
 何で自分の伝えたいことが伝わらないのかな。
 絶対に自分の意見がよい。それじゃできないよ、めんどうだな。
 自分の意見のほうがよい。なんで自分の思いが伝わらないんだ。

【展開前段】
 子供役、役員役、観客に分かれて話し合います。まずは、犬を飼いたい子供たちの気持ちを教えてください。
 動物にも命がある。ダンも一人だと寂しい。少しでも長く生きてほしい。
 犬が嫌いなのは仕方ないけれど、一つの命だから嫌いとかいらないは別の問題。
 役員のみなさんはどうですか。
 子犬を飼いたい気持ちは分かるけれど、ほかで飼ってほしい。
 規則を守らないと犬が嫌いな人と仲が悪くなるかも。

【中心発問】
 理解し合うために大切なことは何でしょうか。周りの人と話し合ってください。
 相手を理解しようとすると自分の考えの視点が広がる。
 相手の主張を理解して、自分の考えをもつ。

【展開後段】
 (板書を示し)互いに理解し合うにはこのようなことが大切なのですね。では、授業の始めの自分を振り返り、声を掛けてください。
 めんどうな気持ちもあるけれど「もし自分が相手だったら」と考えて、自分の視点だけにならず、相手の意見を理解しようとするとよりよいね。
 理解し合ったり、よく知ったりするために、相手の気持ちや主張を大切にしてよく聞く。しかし、自分の考えを相手にしっかり伝わるように話すことも大切だよ。
 相手の意見が嫌だとしても、自分の意見はどうなのか考えて一番よい意見をつくってみよう。
 自分たちの意見だけでなく、ほかの人の意見を聞き、よりよい意見を生み出すことは自分だけでなく周りの人にとってもよいことになる。自分だけ意見を言うのではなく、相手の話も最後まで聞くようにしよう。

 児童の意見を大切にしたいという考えから、そのまま書いてしまった。児童が話合いの途中で見返しても思考が深まるように、端的にまとめて書く必要があった。

(『道徳と特別活動』2024年6月号)

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