―役割演技を取り入れた板書―

東京都荒川区立峡田小学校 指導教諭
鈴木 貴代美
授業実践 第一学年
道徳の授業の板書は、ノートにまとめたりワークシートに書き写したりするものではない。授業を組み立てていく際、板書は児童が授業の流れを確認し思考の整理をしたり、児童の考えや意見を可視化させたりすることで、自己を見つめる場面や一時間の授業を振り返るときに思考を助ける手立ての一つになると考えられる。板書は、「児童に向けて児童のために」書いている。だからこそ、授業の中で役割演技などを取り入れたとき、児童が今考えていることがどのようなことなのかを視覚的に表すことで、児童にとって明確で分かりやすい板書となるよう心掛けていきたいと考える。
授業実践 第一学年
友達を思い、行動する登場人物の気持ちを考えることで、友達のよさを実感し、友達と仲よく活動し、助け合おうとする心情を育てる。
教材名 「二わのことり」(光村図書「きみがいちばんひかるとき どうとく1」)

●板書の工夫
①教材提示とレイアウト
導入で、登場人物や関係図などを電子黒板に提示する(資料2)。電子黒板に提示することで児童の関心を引くこと、黒板には過剰な情報を提示しなくても済む。発問に応じて、電子黒板に場面絵を大きく提示することで、児童は物語の世界にさらに深く入り込み考えやすくなる。電子黒板の画面は消えてしまうが、考えさせたいときにすぐに提示できるというメリットもあるので活用しやすい。
劇場型(黒板シアター)で教材提示をする際、黒板に場面の背景を配置し、登場人物を教師が場面絵やペープサートなどを動かしながら提示していく。物語の時系列を考慮し、授業の導入から終末までが見通せるように、レイアウトを工夫することで全体の見通しができ、児童は物語の世界に入り込み考えたいという意欲が湧いてくる。

②場面絵と吹き出し
登場人物の挿絵の有無は児童が登場人物になり切れるか、考えてみたいと思う気持ちが高まるかに大きく影響する。役割演技の際、登場人物の挿絵を提示することは登場人物に寄り添った児童の考えを引き出すことに有効である。児童には、板書と同じ挿絵のペンダント式の札を用いて演技させると、登場人物になりきって考えたい気持ちを引き出すための手立てとなる。
役割演技で出てきた児童の考えを、登場人物の挿絵に吹き出しで書き込むことで、その後の話合い活動につながりやすい(資料3)。また、同じ言葉が出てきたらサイドラインを引いたり、多面的・多角的な考えをチョークで色を付けたりすることで分類し、話合いの際にキーワードとして用いて思考の整理につなげる。

●役割演技(㋯みそさざい役・㋳やまがら役・C見ていた児童の考え)
T 目に涙を浮かべて喜ぶやまがらさんとみそさざいさんは、どのようなお話をしたのでしょう。
㋳ 来てくれたんだね。
㋯ 待たせてごめんね。
㋳ 誰も来てくれないと思っていたよ。
㋯ うぐいすさんの家も楽しかったけど、やまがらさんのことが気になっていたんだよ。
㋳ すごくうれしくて、泣きそうだよ。
㋯ ぼくもうれしいよ。
㋯ やっぱり来てよかったよ。
㋳ ぼくたちはよい友達だね。
※演じている部分の言葉を、登場人物の挿絵の吹き出しに書き込んでいく。
T 演じてみてどう思いましたか。
㋳ あたたかい気持ちになった。
㋯ 友達と遊びたくなった。
T 見ていてどう思いましたか。
C 友達っていいな。
C 友達はみんな大切。
※吹き出しの近くに書き込み、色チョークでサイドラインを引き、多面的・多角的に分類する。
●ワークシートと板書の工夫
低学年では、教材と自分事として考える場面の切り替えが難しい場合がある。板書と連動させるために黒板に特定の印(マーク)を置くことで、自己を見つめ自分の考えを書くことを意識させる。ワークシートにも同様の印(マーク)を付けることで分かりやすく考えやすくさせる配慮となる。
役割演技で児童が考えたことを全て板書に書き、反映することは難しい。短い言葉に置き換えたりキーワードを書いたりすることで、児童により分かりやすく板書に表すことが有効である。
一時間の授業を通して、自分や友達の考えや話し合ったことなど、様々な工夫をすることで視覚的にも分かりやすく振り返りもしやすくなると考える。
(『道徳と特別活動』2024年6月号)





ともだちのことをかんがえて B[友情、信頼]