
北海道北見市立三輪小学校 主幹教諭
佐野 正樹
オリエンテーション
はじめに
特別活動は、「なすことによって学ぶ」ということを方法原理としている。目指す児童の姿に向けて、全て教師が指導するのではなく、児童自身が自主的・実践的に学級や学校の諸問題を解決していく中で資質・能力を育むことができるようにしていくことが大切である。
一方で、年度当初に学級会を実施すると、前学年までの学級によって取り組み方や経験に違いがあることで話合い活動が想定したように進まないこともある。そのため、児童の発達の段階やこれまでの経験に合わせて学級会オリエンテーションを実施し、より学びがいのある活動が必要となる。本稿では学級会オリエンテーションについてどのような準備をするかについて考える。
オリエンテーションの具体的方法
教師が学級会そのものについて具体的な取り組み方を意図的・計画的に説明(ガイダンス)することを、ここでは学級会オリエンテーションとよぶ。学級会オリエンテーションは、児童の発達の段階や状況により取り組み方は様々である。その上で、次のような方法が考えられる。
⑴学級会の役割を児童が担い、教師が意図的・計画的に指導・助言をする
主に中・高学年の学級では、「なすことによって学ぶ」の言葉どおりに実際に学級会をしていく中で、教師が意図的・計画的に指導・助言をしていく方法がある。例えば、四月によく行われる「係活動を決めよう」の議題で学級会をする場合、「出し合う」場面で「根拠をはっきりさせて発言しよう」と説明した上で児童に発言を促したり、黒板に意見を整理する際に「考えの近いものはまとめておくと分かりやすいね」と短冊を操作しながら全体に確認したりするなど、よりよい合意形成のための方法について焦点化しながら指導することが考えらえる。
⑵学級会の役割を教師が担い、学級会を行う
主に低・中学年の学級会でこれまで取り組んできたことが少ない場合は、教師が司会グループの役割を担いながら学級会を進め、学級会についてのイメージを共有する方法がある。例えば、一年生で「どうぞよろしくね会をしよう」の議題で学級会を行う場合、教師が司会や記録等の役割を担うことが考えられる。挙手をして発言をすることや出てきた意見を短冊に書き黒板に整理する等の話合い活動の基本的な取り組み方について教師がロールモデルとして示しながら説明することで、学級会のイメージを共有する。そこから、教師の役割を少しずつ児童に渡していくことで、自治的な活動へとつなげていく。
⑶「小学校特別活動映像資料 学級活動編」を活用し、学級会を行う
国立教育政策研究所の「小学校特別活動映像資料 学級活動編」(資料1)を授業の前段で活用することも考えられる。例えば、学級活動⑴の「学級会を開こう」では、中・高学年の児童が十五分で一連の指導過程について学ぶことができるように制作されている(資料2)。学級活動や朝の時間等に視聴後、同様の「四年一組どうぞよろしくの会をしよう」のような議題で実際に学級会に取り組むことができる。


⑷「楽しい学校生活」を活用し、学級会を行う
教材として「楽しい学校生活」(文溪堂)を購入している場合は、それを用い て学級会オリエンテーションをすることも考えられる。例えば、「楽しい学校生活 3年」(資料3)には、「学級会の議題を見つけよう」「計画委員会の役割を知ろう」「意見の言い方を考えよう」「意見をくらべて、まとめよう」など、学級活動⑴で知識・技能として身に付けたい内容がまとめられている。例えば、学級会の冒頭に「意見の言い方を考えよう」の内容を確認し、「自分がそう考えた理由や、みんなで楽しむための工夫を入れて、みんなに分かりやすく伝える」ことを強調した上で、学級会を実施することも考えられる。

おわりに
具体的方法として示した四つの方法のほかにも、上の学年の学級会を実際に参観したり、過年度の学級会の動画を視聴したりするなどの方法もある。また、学級会オリエンテーションをせずとも学級会を行うことができる場合もある。
大切なことは、児童や学級の実態を適切に状況把握し、それに応じて意図的・計画的な指導を行えるように授業を構成することである。また、特別活動は、実際の活動経験を積み重ねながらじっくりと体得していくという特質がある。そのため、教師も児童も焦らず共に楽しみながら新年度の歩みを進めていく気持ちも大切にしたい。
(『道徳と特別活動』2024年4月号)




