授業実践② 第六学年
崇高なものに感動する心や、人間の力を超えた出来事に対する畏敬の念をもつ心情を育てる。
教材名 「青の洞門」(出典:東京書籍「新編 新しい道徳6年」)
⑴授業をするまで
本授業に関しては、D[感動、畏敬の念]に必然的に結び付けられる機会をなかなか見つけられずにいた。道徳科とその機会との相互作用が見込めないと内容項目だけが独り歩きし、児童の心にも刺さりづらいと考える。六年生も終盤に差し掛かった頃、国語科の教科書に掲載されている『海の命(作:立松和平)』の世界観が「畏敬の念」と通ずると感じた。題名にもなっている『海の命』は、まさに自然に対する「畏敬の念」であり、己の力では到底適わない崇高な存在と相対時したことも近いと感じた。そこで文学作品として深く読み取っていく難しさと似た世界観をもつ、『青の洞門』の実践へとつなげていった。
⑵授業について(学習指導過程参照)
導入 まず、児童に最近「感動」したことはないかと問うた。さらに感動したときの感情について追って問うと、児童が「う~ん……」と即答できない状態となったため、このタイミングだと察し、学習問題を「感動するって、どういうことだろう?」に設定した。一見、教師主導に見えるが、児童が「解決したい」と思えることであれば、意欲をそぐことはないと考える。
展開 本教材は文章量が多く、現代では理解しづらい表現や時代背景(僧、敵討ちなど)も含まれるため、補足説明が必要である。その上で、発問では児童の印象に残った「了海の決心」と「実之助の不可解な行動」から考えさせた。この教材を使った授業の肝となるのは、二人の登場人物の心情を変えた源に着目させることだと考える。決して「犯罪者を許した寛容さ」ではなく、こうした人間でも、どのような人間にもある根底の清らかさに気付かせたいと考える。
終末 「感動」の中に隠れていた「心を動かす」を紹介するに留めて、雰囲気を大切にした。


⑶授業を終えて
人物相関図を使い、教材理解の助けとしたこと、児童自身の経験を軸に実生活と距離のある教材でもD[感動、畏敬の念]について考えを深められたことが成果と考えられる。その分、教材のもつ本質や厚みを軽視してしまったようにも感じられるため、「感動」に正対し受け止められた児童が少なかったように思う。
(『道徳と特別活動』2025年6月号)





気高い心 D[感動、畏敬の念]