―新年度に向けてのTO DOリスト―

東京都渋谷区立鳩森小学校 指導教諭
高橋 晶子
道徳教育推進教師
年度の終わりと年度の初めは、我々教員にとって忙しい時期である。学級や学年の仕事、責任に一区切りをつけてほっとする気持ちも束の間、校務も含めて新年度の準備を計画的に進め、新たな一年の見通しをもつ大切な時期である。様々な校務や学年、学級事務に多忙を極める時期ではあるが、道徳教育推進教師としての仕事も計画的に進められると学校全体の道徳教育の推進につながる。とは言え、各校に一人の道徳教育推進教師。みなさんがどのような実践をされているのか気になるところで、私もその一人だ。ここでは私が春休みに道徳教育推進教師としてやっておくとよいと思うことを、TODOリストとして挙げる。
□重点内容項目の確認
□年間指導計画作成
□別葉の作成
□道徳科教材の扱い方の周知
□評価の提案
□そのほか
①重点内容項目の確認と年間指導計画、別葉の作成
校長の学校経営方針の下、重点内容項目が決まったら、年間指導計画や別葉の見直しをし、作成する必要がある。教育課程の届出のスケジュールに合わせて動くことになるので、時期は所属するエリアによる。
本校を例に挙げると、令和五年度の重点内容項目はA[個性の伸長]で、各学年A[個性の伸長]の授業を二つ以上、年間指導計画に位置付けていた。令和六年度は、A[個性の伸長]に加えて、B[相互理解、寛容]とD[よりよく生きる喜び]も重点内容項目と設定されたため、三年生以上の年間指導計画にはB[相互理解、寛容]の授業を二つ以上、五年生以上の学年にはD[よりよく生きる喜び]の授業を二つ以上位置付ける。令和六年度は教科書採択替の年でもあるため、重点内容項目を意識して全学年の年間指導計画を新しくつくることになる。道徳科の年間指導計画や各教科、総合的な学習の時間、特別活動の年間指導計画、年間行事予定などと照らし合わせながら、別葉を作成することになる。年間指導計画や別葉の作成は、各学年にやってもらうこと、道徳教育推進教師や道徳科の教科担当がやることを計画的に提案し、進めることが大切である。
②道徳科教材の扱い方の周知
道徳科教材は、教科用図書(以下、教科書と略記)を中心に文部科学省の「私たちの道徳」、各都道府県の教材集(東京都では「心あかるく(小学校一・二年生版)」「心しなやかに(小学校三・四年生版)」「心たくましく(小学校五・六年生版)」「心みつめて(中学校版)」)など、様々なものがある。教科書を使用することは当然だが、そのほかの教材も重点内容項目のものやねらい、実態等に合わせて年間指導計画に位置付けて活用することができる。そのような中で、児童に配布されるものとそうでないものの区別が曖昧になってしまわないように、道徳教育推進教師が主体となってそれらの扱い方を周知する必要がある。東京都では、教科書だけでなく東京都の教材集も配布(一年生、三年生、五年生、中学生)されるので、確実に配布し、小学校では二年ずつ、中学校では三年間、大切に使うことを教員、保護者、児童生徒に周知する。
授業に使う場面絵や授業案、板書写真などを蓄積している学校では、その学年の教師が手に取りやすいように、分類・整理し、保管するシステム(デジタルでもアナログでも)をつくり、共有できるようにする。
③評価の提案
本校では、年度始めに道徳科の評価の仕方について提案している。主に道徳科の特質を大切にした授業を行うこと、その学習状況の見取りの仕方、評価の仕方についてである。
○道徳科の特質を大切にした授業
よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うために、次の学習を通して、道徳的判断力、心情、実践意欲と態度を育てることが求められる。
・道徳的諸価値の理解
・自己を見つめる
・物事を多面的・多角的に考える
・自己の生き方についての考えを深める
○学習状況の見取りの仕方の例
・話合いの様子
・発言
・ノートやタブレット端末などに残した振り返りの記述(様々な実践があるので、互いに共有するとよい。)
○評価の仕方
個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価とすること、他の児童との比較による評価ではなく、児童がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ます個人内評価として記述式で行うことが求められる。
【重視する点】
・一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか
・道徳的諸価値の理解を自分との関わりの中で深めているか
④そのほか
校内で教室掲示として「道徳コーナー」などを統一して作るならば、その共通理解を図ったり、道徳科の最初の授業のアイデアを共有したりするのは年度始めがチャンスである。
道徳教育推進教師の役割は、自校の道徳教育の推進を図ることである。校長の学校経営方針の下、道徳教育の推進を図ることができるよう、春休みに計画的に準備を進めたい。
(『道徳と特別活動』2024年4月号)




