―聴き合い,つながり合う学級会へ―

埼玉県上里町立上里東小学校
教諭 平野 裕貴
授業実践 第三学年
はじめに
今まで、多くの学級活動⑴の話合い活動を実践したり、参観させていただいたりしてきた。その中で、自分自身の実践も含め、数での合意(多いから決定)や、多数決での合意を見てきた。これらが一概によくないということではないが、児童の多くが納得しているのだろうか、この決定方法が望ましかったのだろうかと疑問に感じたことも少なくない。そうした中で「選ぶ」思考の中でも、少しでもよい、納得する形で合意形成に向かうことはできないだろうかと考えた。発達の段階や経験知の差異もあるだろうが、今回は「つなぎ、生み出す話合い」を目指すための手立てを考えていきたい。
授業実践 第三学年 学級活動⑴
これまで、交流学級で来るAさんと学期に一度、一緒に授業をしてきましたが、あまり関わることができませんでした。そこで、Aさんようこその会をして、一緒に活動をしてもっと仲を深めたいと考えました。そうすれば、次会うときにはなかよくなって、たくさん一緒に活動できると思い、提案しました。
●決まっていること ① 九月二十七日(金)の一単位時間/②場所は教室/③やることは二つくらい/④準備時間はカレンダーで共有
⑴事前指導の充実
本議題は、交流学級に来るA児について「学期に一回程度しか交流がなく、自分たちもAさんのことがあまり分からないという状況が前学年から続いている」という児童の発言を受けたものである。もっと関わりたいという発言から計画委員での話合い、学級全体での話合いを経て議題に選定された。
このとき「学級の旗を作りたい」「みんなで学級のお守りを作りたい」といった議題も挙げられていたが、交流学級で活発に関わることのほうを大切にしたいという学級全体の思いから、本議題で話合いに臨むことになった。本議題を選定する際にも、計画委員や、提案者だけの一部の児童で進めるのではなく、必ず学級全体で進めることが重要である。そうすることで、児童が「自分事」として議題を捉えることができると考える。

①本時に向かう学級活動ノートの活用
学級活動ノートは、タブレット端末で作成したものを印刷し、紙で記入している。タブレット端末でも作成することで、司会グループの児童がいつでも見ることができ、練習や準備ができるようにしている。また、「こんな学級になってほしい、こんな自分になりたい」という欄を設け、記入させることで、めあてをもって参加できるようにしている。 事前に記入したノートを司会グループが見て、話し合うこと①については、前もって記入し、教室背面黒板に貼ることで、児童が事前に意見を確認できるようにしている(資料2)。

②意見を「分かり合う」ための工夫
前述の背面黒板に貼られた意見は「見ておいてね」の声掛けだけでは見ない児童もいる。そこで、事前に確認・質問し合う時間を確保するようにしている。例えば、「手紙」一つとっても大きな紙にみんなで書くのか、一人一枚ずつ書くのかイメージが分からない。そこで質問し合うことで、イメージの共有を図る。イメージを共有したり、そのよさを確認したりすることで、児童は共通の土台にのって話合いに参加することができる。その際、発達の段階に応じて、説明のイラストがあると、より理解が深まる事前の活動になると考えた。
⑵本時の活動
話し合うこと①「Aさんともっと関わって、仲良くなれる内容を決めよう」では、事前に「出し合う」は行われており、どのような内容か共通理解した上で、「くらべ合う」から行った。
●発言記録
C1 「なんでもバスケット」に賛成です。理由は、相手のことをもっと知れるからです。
C2 私もなんでもバスケットがよいと思います。理由はC1さんと似ていて、質問することで、もっとAさんのことが知ることができると思ったからです。
C3 私はなんでもバスケットが少し心配です。理由は、もしAさんが真ん中に立つことになってしまったら、緊張して喋れなくなってしまうかもしれないからです。
司 今の心配な理由に対して、改善できる意見はありますか。
T 司会の人が言ってくれたように、心配が改善できるとよいですね。
C4 先ほどの心配意見に対しての改善なのですが、もし、Aさんが真ん中になったら、誰かが代わりに代わってあげたり、先生が言ってあげたりすればよいと思います。そうすれば、残ってしまっても緊張するということは解決できると思います。
司 C3さんどうですか。
C3 それなら大丈夫です。納得できます。
このようなやり取りがあり、話し合うこと①では、一つ目に「なんでもバスケット・フルーツバスケット」をすることが決まった。次の話合いは、もう一つの遊びを決める際の内容である。
C5 「迷路」が心配です。喜んでもらえるし楽しそうだけれど、準備に時間が掛かりそうだからです。
C6 私もC5さんと同じで「迷路」が心配です。理由は準備に時間が掛かることと、終わった後にどう待てばよいかが難しいからです。
司 今出たような心配意見を改善できるような意見はありますか。
C7 今の二人の話を聞いていて、作るまでにタイマーで時間を決めればよいと思いました。そうすれば、スムーズに準備できると思います(資料3)。
C8 先ほどの意見に付け足しです。迷路を作る場所を教室ではなく、特別教室にすればよいと考えました。そうすれば準備ができるし、終わった人は教室で待つことができるからです。
C9 さっきのC8さんの意見を聞いて、待つときにAさんの所で話をすれば、さらに交流できると考えました。
司 心配していた人はどうですか。
C6 それなら納得できるし「迷路」を喜んでもらえそうなので、迷路に決めたいと思いました。

全く新しい意見を創造するというようなことではないが、出ていた意見を改善し、よりよい「なんでもバスケット」「迷路」を創造することができた。このように「決める」には、数での合意ではなく、理由で「合意」させていくことが大切だと感じている。
安易に多数決や賛成の多い、少ないで決めるのではなく、出ているものは「みんなが考えたよい意見」なのだから、今回はどの「よさ」を自分たちが大切にするのか、どのような理由を大事にして実践するのか意識させるようにしている。理由を短冊にキーワードで示すことで、話合いが意見発表会のようにならず、「つながる」話合いになっていくのではないだろうか。また、改善で出た意見にも印をつけたり、色を変えた短冊をしようしたりすることによって、より「可視化」を図ることができる(資料4)。

話し合うこと②「もっと仲よくなるための工夫」についても、話し合うこと①の理由に出てきた部分を生かして、より相手のことを知ることができるような工夫、相手がより喜んでくれるような工夫が採用された。
⑶事後の活動
充実した話合いが展開されたことにより、事後の活動もより充実していく。児童は自分たちについてはもちろんのこと、相手のことを知りたい、喜んでほしいと考え、意欲的に準備に取り組んだ。短い準備期間だったが、進行表も活用し、協力し合って準備ができた。その結果、充実した会にすることができた。交流に来たA児にもうれしそうな様子が見られた。
おわりに
今回の実践を通して、改めて話合いは「つなげていくこと」であり、安易に決定するのではなく、より納得できるような「納得解」を生むために話し合うことの重要性を実感した。そのためには、事前に今回の話合いは何のために行うのか、どのような価値があるのか、必要性があるのか等を教師だけでなく、児童とも共有することが大切である。話し合う方向性を共有すること、理由を大切にすること、決まったときに、今日はこのような理由で決まったと児童が語れるような話合いを目指し、実践を続けていきたい。
(『道徳と特別活動』2024年12月号)





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