【高学年】新たな考えを生み出す学級活動(1)の指導の工夫

東京都江東区立数矢小学校

教諭 仲田 綾香
実践紹介 第五学年

はじめに

 本校は、二期制で毎年学級編成替えがあり、この学年は今年度から受けもつこととなった。本学級の児童は、学級会や係活動に前向きで、普段から多くの友達と関わり合いながら生活している。その中で、様々うまくいかないことも起こる。そういったときに、これまでの経験を振り返り、どうしたらよかったのか、次からどうしていくか、先を見通して考えられるように指導している。学級会オリエンテーションでは、児童のこれまでの経験を確認しつつ、学級会の進め方のすり合わせをした。自分の意見に固執せず、友達の意見を聞き合いながら自分の考えを出すことで、よりよい合意形成をする経験ができると考える。本稿は、前期の終わりごろ、何かみんなで楽しめることがしたいという思いから提案された実践である。

実践紹介 第五学年

議題

「五年四組ミニ縁日をしよう」

提案理由

前期は頑張ったねとお疲れ様、後期も頑張ろうの気持ちをこめて、みんなでイベントをしたいと思いました。ミニ縁日をみんなで協力してやることで、学級の団結力を高めたいと思ったからです。

話し合うこと ①どのような出店を出すか決めよう/②ミニ縁日を盛り上げる工夫を考えよう

決まっていること ① 十一月一日(金)五校時/②場所は教室とウッドデッキ/③出店の数は四~五つ/④出店の担当は係ごとに分担(前後半を決めておく)

資料1 本時の板書

 話合いの議題は、議題箱に入れられた提案カードや児童のつぶやきなどを基に、時期や日程を考えて学級全員で決定している。今回は、本議題以外にも複数の議題案が出ていた。司会グループとともに「五年四組ミニ縁日」「係コラボイベント」「クイズ大会」の三つまで選定し、どの議題で話し合うか学級に投げ掛けた。すると、「ミニ縁日の出店を係のメンバーで出したらよいと思う」「クイズを出店の一つにしてはどうか」と、それぞれの案のよさを生かし、「五年四組ミニ縁日」に集約していく意見が出された。そこで学級全体に確認し、本議題が決定された。

 話し合うことの二つについて事前に意見を考える時間を取った。まずは、Google フォームでみんなの考えを出してもらい、それを計画委員で確認した。すると「どのような出店を出すか」についてだけでも三十種類近くの考えが出された。そこで学級全体で内容を見ながら、同じような意見をまとめたり、普段の係活動でもできるものを分けたり、全体の数をしぼりながら考えの共通理解を図っていった(資料2)。また、各係が独立して出店すると、前後半で分けた際に、出店を担当する人数が少なくなってしまうということにも気付いた児童がいた。そこで、係同士が一緒に出店を出すこととし、出店の数は全部で四~五つにすることになった。

資料2 出し合った意見を分類整理する様子

 本時は「くらべ合う」から進めていった。司会が全体の様子をよく見ながら話合いをまとめたり、どのような意見を出してほしいのか伝えたりとリードしていた。ほかの児童も出された意見をよく聞きながら考えて、意見が出されていた。

●「くらべ合う」「まとめる」の授業記録(話し合うこと①より抜粋。C1より前にもいくつか意見が出ている)

提案理由を意識して話し合う場面
C1 僕は、射的がいいと思います。理由は、みんなで楽しみながらイラストやニュース(新聞)を渡すことで前期にやったことを紹介したりして、後期の係にも魅力を伝えたりできると思うからです。
C2 僕は、クイズがいいと思います。理由は、パソコンで簡単に作れて、二人ずつとかじゃなくてみんなで一斉にできるからです。みんなで楽しめて団結力も深まるし仲良くなると思うからです。
C3 僕は、くじ引きがいいと思います。理由は、やるほうも見ているほうも当たるか当たらないかを見て、みんなで楽しめるからです。
C4 僕は、射的がいいと思います。準備するものは必要だけど、輪ゴム鉄砲とかを作るときにもみんなと協力できるからです。それで、当たって絵などをもらえたらうれしいからです。
T 今、いくつかやりたいという賛成意見が出ていますが、意見が出ていない出店についてはどうしましょうか。
司1 ペットボトルキャップ積みと、輪投げがまだ一つも意見が出てないですけど、どう思いますか。
フロア (考えこむ。やりたい人もいそうな様子)
C5 輪投げもペットボトルキャップ積みも、材料が集まれば簡単に準備できるからいいと思います。
司1 全部の意見に賛成意見は出たけれど……。
T みんなが、提案理由にぴったりで、これはいいねというものに決まるとよいですね。どの出店だったら、みんなで協力できて団結力も高められると思いますか。
司2 これをやりたい、あれをやりたいだけではなくて、提案理由に合っていて、これがよいと思うものがあったら教えてください。
C6 だいたい全部、作るときにみんなでできるからよいと思う。
(提案理由に沿った理由の意見が続く)
司1 今、射的と「箱の中身はなんだろな」がよいと思っている人が多いですが、心配や不安な人はいますか。
司2 いないので、射的と「箱の中身はなんだろな」は決定してよいですか。
フロア はい。
 提案理由は、話合いの拠り所となるものであると考える。みんなにとってどの出店を選ぶとよりよいのか、提案理由を意識しながら話合いを進めることができている。出店を楽しむことだけではなく、実践することでどうなりたいのか、準備の場面でもみんなと協力できることなどを考えられている。

少数意見をそのままにして決まりそうな様子があったため、助言をした場面
T たくさんやりたいとか、いいなという意見が出ていて、決まりかけているところなのだけど、ちょっと気になるところを話すね。ボウリングが今、一人しか賛成意見が出ていないのだけど、一人だからやらないというのでいいのかどうか。やっぱりこれがみんなの提案理由に合っているからいいねとして決めてほしいなと先生は思っているので、少ない意見の扱いを考えながら進めていきましょう。
(司会が話合いを進めていく)

新たな意見が生み出された場面
C6 くじ引きって、正直くじを引くだけだから、別の物にくっつけてくじ引きの景品じゃなくて、ボウリングの景品とかにしたほうが楽しいと思う。二つを組み合わせたらよいと思います。
フロア 確かに楽しそう。いいかも。
司2  ボウリングの点数によってくじ引きが引けて景品がもらえるという形式で、ボウリングをやるということでよいですか。
C7 付け足しがちょっとあって、くじ引きをボウリングとか輪投げとかにくっつけるなら、ハズレを無しにしたほうがやりがいもあると思います。
司1 今の意見をふまえて、くじ引きはボウリング、輪投げ、ペットボトルキャップ積みのどれにでもくっつけられるのですが、どうしますか。一番、縁日でやってみたいというものありますか。
フロア (どれもよいという反応)
T C6さんは、どれに一番ぴったりだと思いましたか。
C6 ボウリングです。
司2 それでは、みんなが納得しているのならボウリングにくじ引きを付けて縁日で行うということにしようと思いますが、心配な人はいますか。
司1 では、これで決定します。
 少数意見を大切にしてほしいという思いがあったため、クイズとくじ引きに決まりそうではあったが、助言に入ることにした。C6の児童の意見があったおかげで、少数意見だった考えをもう一度立ち返って考え、生かすことができた。

 話し合うこと②については、事前に出された意見の短冊を司会グループで仲間分けしておいた。事前に準備すること、出店の内容に関するもの、自分が当日できること、そのほかの四つに分け、その仲間ごとに内容を確認しながら決定していった。
 役割分担については、別の時間を使って係ごとに希望を出して調整した。ミニ縁日で必要な役割を全体に聞いたところ、司会、始めの言葉、終わりの言葉、音楽を選曲する人、黒板アートの中心になる人が必要だと出てきて、各二~四名程度で分担した。そのほか、出店の魅力を伝えたり、黒板や教室のかざりつけをしたりするのはみんなで担当することとなった。

 話合いの終末の教師の助言では、司会グループへ具体的な称賛の言葉を掛けた。また、全体へ、友達の意見を聞きながら自分の意見を考えられていたことや、出された意見から新たな考えを出し、みんなでよりよい意見に合意形成できていたことを称賛した。
 児童からは、「黒板記録は初めてだったけど、みんなの協力でやりやすかった」「たくさん意見を出せたし、みんなの意見から新しい意見を出せた」「提案理由に沿った意見を出すことができた」「みんなが意見をたくさん発表してくれたおかげで、ミニ縁日がより楽しみになったし、頑張ろうと思った」などの意見が出た。児童にとってよりよい話合いの経験になったことが感じられ、事後の活動へ前向きな様子が見られた。

おわりに

 年度当初から、提案理由の大切さ、自分もよくてみんなもよい意見に決めること、安易な多数決を避けることなどを指導し、実践を積み重ねてきた。積み重ねにより、児童の話合いでの様子はよりよく変化してきている。友達の意見のよさを生かして新たな考えを生み出したり、少数意見や不安・心配だという意見に対してどのようにしたらよいか考えたり、出された意見をより大切にできるようになってきた。今後も、よりよい合意形成の経験や、周りの友達との関わり合いを大切にして、実践を積み重ねられるよう、指導していきたい。

(『道徳と特別活動』2024年12月号)