【学級活動(1)】互いの意見を生かし,高め合う学級会へ

自他を大切にした学級活動⑴の指導

東京都三鷹の森学園三鷹市立第五小学校 主任教諭

奥山 良太
実践紹介 第五学年

はじめに

 学級会を行う中で、難しさを感じることの一つに「いかに児童に『合意形成』の力を培うか」ということがあるのではないだろうか。現行の学習指導要領に「合意形成」という文言が示された。何度も学級会を実践する中で合意形成のプロセスは理解してきたが、課題も多い。本稿では学習指導要領実施から今日にいたるまでの自分の実践を振り返るとともに、合意形成に関して現在私が意識していることについて述べる。

●高め合う学級会へ
『小学校学習指導要領解説特別活動編』第3章第1節の1では、解決方法等の話合いや解決方法の決定について以下のように書かれている。

(略)解決方法等の話合いや解決方法の決定とは、議題についての提案理由を基に、一人一人の思いや願いを大切にしながら意見を出し合い、共通点や相違点を確認したり、分類したり、共通の視点をもってくらべ合ったりするとともに、よりよいものを選んだり、意見の違いや多様性を生かしたりして学級としての考えをまとめたり決めたりして「合意形成」を図るまでの過程を示したものである。(下線は筆者による)

 合意形成を図る上では、多様な意見を生かしながら、学級としての考えをまとめたり決めたりすることが大切である。これまでの実践を振り返り、目指したい合意形成のプロセスと課題に感じたことをまとめてみたい。

●課題に感じた例
・賛成や反対の意見をただ発表し合う。
・賛成・反対の理由として提案理由を言うだけ。(「〇〇に賛成です。理由は(提案理由)だからです。」の繰り返し)
・賛成や反対の意見の数だけで決まる。
・話し合ったものの、いずれかの意見が選択されただけで考えの変容や質的な高まりが見られない。
・折り合いが付かず、決まらない。
・決まったことに対して期待感が高まらない。

●目指したい合意形成のプロセス
・少数の意見が大切にされる。
・児童の発言がつながり、焦点化され、深まっていく。
・創意工夫の意見が出され、考えが質的に高まる。
・提案理由に沿って比べ合い、まとめている。
・話合いを通して「自分」の視点から「自分たち」という視点に変わる。
・誰もが納得して決まり、期待感が高まる。

 これまで何度も合意形成の大切さと難しさを感じた。様々な研究会や文献等で学ぶ中で、自他の考えを生かして「高め合う」学級会にしたいと考えるようになった。ここからは具体的に実践を紹介する。

実践紹介 第五学年

実践①「五-一のキャラクターを作ろう」(令和六年五月実践)

 五月に学級目標を決めた。学級目標は、高学年になった児童の思いと教師の願いを基に「強い心優しい心×よく考え行動する子みんなでつくる五年一組」になった。「みんなでつくる五年一組」には、学級生活を自分たちで楽しく豊かなものにしていくという思いが込められている。学級目標を決めた後に、「学級のキャラクターをつくりたい」という願いから本議題が選定された。

 計画委員会で「学級目標にある『みんなでつくる五年一組』に近づくために、学級のキャラクターをつくり、盛り上げたい」と提案理由を深めた。事前に、「オリジナルのキャラクターを作ること」「五の一らしいキャラクターにすること」「学級目標をイメージできること」「描くのが難しくないこと」を決まっていることとして確認し、原案となるイラストを募集した。考えを生かし合いながら決めていってほしいと考え、どれかを選ぶのではなく、みんなでキャラクターを作り上げる話合いにしていくことを確認した。そこで、話合いのめあてを「みんなのアイデアのよいところを生かして、五の一らしいキャラクターを決めよう」とした。六つの原案や集約した学級会ノートを見ながら、「メインとなる原案を決める」→「ほかの原案のよいところを生かす」→「五の一だけのキャラクターを作る」という話合いの見通しをもった。

 話し合うこと①は「どのようなキャラクターにするか」である。カメのキャラクターをメインとすることに決まった。そして、「王冠をつける」、「五の一のマークをつける」「(学級担任のイメージである)眼鏡を掛ける」「学校行事のときにそれにちなんだ飾りをつける」など、ほかの原案のよいところや新しいアイデアを生かしながら、キャラクターを作り上げていった。「こうしたらどうか」「こうしたらもっとよくなるのではないか」といった創意工夫する意見が多く出された。教室に掲示するものには学級の節目に色を塗ったり思い出を書き込んだりしていき、一年が終わるころに学級の思い出を振り返ることができるようにすることも決まった。
 話し合うこと②は「キャラクターをどう使うか」である。一人一人バッジを作ることと、係活動に生かすことに決まった。学級会ノートの表紙にキャラクターの絵を描く児童もおり、愛着をもっている様子も見られた。学級会後にはキャラクターの名前も決め、今では学級のシンボルとなっている。
 話合いを通して、原案を描いた友達の思いを大切にしながら、みんなでキャラクターを作り上げようという気持ちが感じられた。多様な考えを生かし合い決めることができたのは、計画委員会で提案理由と話合いのめあてを確認し、全体で共有されていたからであると考える。

実践②「五-一クイズ集会をしよう」(令和六年六月実践)

「学級のみんなでクイズ大会をしたい」という議題が出された。計画委員会で提案理由を深め、「チームで協力して問題をつくったり解いたりして、五-一の誰とでも仲良くなれるように」とした。誰とでも協力するという目的から、チームはくじで決めることとした。

 年度当初、「もし~だったら」「~かもしれない」という理由で、反対意見が多く出され、なかなか合意形成が図られない実態があった。なぜ合意が図られなかったのか、終末の助言の場面で児童と共に考えた。前向きに話し合い、考えを深めたり、高めたりするにはどうしたらよいか問い掛けた。助言したことを計画委員会や学級全体で確認し、次の学級会のときに生かされるようにした。

 話し合うこと①は「どのような問題にするか」である。「学校についての問題」や「自分やクラスの友達に関する問題」など、学校や互いのことを知ることのできる問題に決まった(もちろん人権やプライバシーへの配慮は必要である)。
 話し合うこと②は「どのような工夫ができるか」である。「賞品を作る」という工夫に対し、「賞品をもらえないと悲しい」という意見が出された。どうしたらよいか、話合いが焦点化され、賞品だけでなく簡単な参加賞も作ることに決まった。これまでの振り返りが生かされ、互いの意見を大切に話し合おうとする場面であった。ほかにも「チームの名前を決める」「クイズの間にミニゲームを行う」「ポイントを競う」「最後に一発逆転問題を出す」などの工夫が決まった。
 学級会後、役割を分担し、集会の計画・準備をした。当日はチームで考えた問題を出題したり、協力して問題を解いたりすることができた。児童は、自分たちで集会活動をつくり上げることを実感できた。

おわりに

 二つの実践を紹介した。高め合う学級会にするために、大切だと感じていることをまとめたい。

・議題…児童の願いや必要感を大切にする。
・提案理由…一連の活動を通して目指したい姿を共有できるようにする。
・話合いのめあて…これまでの課題を踏まえ、児童が実感していることをめあてとする。
・意見の言い方、黒板の記録…賛成・反対だけでなく、創意工夫や思いを伝えられるようにする。黒板に端的にまとめることにより、意見が質的に高まっていったことを可視化する。

→これらのことを計画委員会で確認することが必要である。学級全体には、話合いや実践への期待を高めるような言葉掛けを意識する。

・終末の助言…児童に問い掛け、成長や課題を実感できるようにする。話したことを次の話合いのときに意識できるようにする。
・教室環境…教室に学級活動や学級のあゆみを掲示し、一連の活動の積み重ねを実感できるようにする。

 私は、現行学習指導要領が実施されたころに特別活動を深く学び始めた。今回、現行学習指導要領での指導を振り返ることは、これまでの自分の実践を振り返ることであった。多くの実践をする中で合意形成や学級会の考え方が変容してきたことに気付かされた。
 一方で、変わらないことも分かった。それは、学級活動を通して児童が自他を大切にできるよう支えるということである。
 先日、学級会で「こうすれば、誰も悲しまないと思う」という発言があった。互いの意見を大切にしようとする思いが感じられる場面であった。これからも、集団活動を通して自他を大切にする児童が育まれる、そんな特別活動を実践していきたい。

(『道徳と特別活動』2024年10月号)