【学級活動⑶】学級活動⑶の指導の工夫

― 児童の達成感・充実感を引き出す振り返り活動 ―

東京都世田谷区立代田小学校 主任教諭

小山 雅人
授業実践 第六学年

はじめに

 東京都教育施策大綱には、東京都の目指す教育として「誰一人取り残さず、すべての子どもが将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育」が掲げられ、「将来への希望を持つためには、将来の自分の姿を具体的にイメージできるようにすることが必要です」「自己肯定感や自己有用感を高める取組を充実させることで、子どもたちが自分の希望する将来への道がつながっていることを実感できる学びを積み重ねていきます」と述べられている。このことからも学級活動⑶で行うキャリア教育の果たす役割は大きくなっていると考える。
 特に「どのような一年間にしたいか」「自分がどうなりたいか」を明確にすること、そのめあてに向かって実践することに加え、「達成感や充実感をもって振り返ること」の積み重ねが重要であると考えている。

● 児童の達成感を想起させ、充実感をもって振り返りを行う
 学級活動⑶の板書に関して、「特別活動指導資料 みんなで、よりよい学級・学校生活をつくる特別活動(小学校編)」(国立教育政策研究所刊)を参考に実践を積み重ねてきた。本実践の板書で特に重要視したのは、児童が一年間を振り返った際に「自分たちはこんなに頑張ってきたんだ」や「力を付けてきたんだ」と自己の成長を感じ、達成感をもつことで自分の将来について前向きに考えられるようにした点である。

資料1 本時の板書

授業実践 第四学年

題材名 中学生に向けて 学級活動⑶ア

●本時の流れと板書の工夫

・実感を伴った振り返り活動の導入
・ICT端末等を活用したアンケート調査の実施

「つかむ」では、「学級のあゆみ(一年間の出来事と写真をまとめた掲示物)」を提示し、学校生活について写真とともに振り返った。一年間で自分たちがどれだけのことを経験し、力を付け、学校生活を充実させたかを考えさせた上で、中学校三年間をどうしていきたいのかを投げ掛けることで、今回の題材の必要感を児童にもたせた。また、中学校に向けた「期待」と「不安」について一人一台端末を活用してアンケート調査を行い、提示することで友達がどのようなことに不安を感じているのかを共有できるようにした。

児童が成長を感じられる資料提示

「さぐる」では、中学校生活に関する資料を提示し、教師の経験談も話すことでイメージを膨らませることができるようにした。また、年度始めに共有した「理想の最高学年像」を確認し、それに向けてどのように頑張ってきたのか「映像資料(一年間蓄積した写真や動画をまとめたスライドショー)」を大型投影装置で提示し、一年間の取組を想起させた。自分たちの姿を食い入るように見つめ、「なつかしいな」「あのとき、大変だったけど楽しかったよね」「私も頑張ったよ」と様々な場面での自分の頑張りや成長を感じた声が聞かれた。

一年間の積み重ねが分かる学年掲示「最高学年のステップアップ」の活用(資料2)

「見つける」では、学年の掲示板に一年間を通して掲示してきた「最高学年のステップアップ」を示すことで、一年間を通して自分にどのような力が付いたのか視覚的に捉えられるようにした。どの力を中学校のどの場面で活用しようか小グループで話し合う際にも「この力は、このときも使えるよね」など、活発な意見交流が行われ、その後全体で共有した。

資料2 最高学年のステップアップ

「決める」では、一年間を通して付けてきた力を中学校のどの場面で生かせるのか、児童が話し合った内容と一年間を通して活用してきた掲示物とともに板書に残した。自分が中学生に向けてどのようなことを頑張りたいのか意思決定するための材料をたくさん提示することができ、全員が「中学生に向けて頑張りたいこと」を決めることができた。

おわりに

「キャリア・パスポート」の取組が始まって四年。学校ではどのような内容を積み重ね、残していったらよいのか、未だに議論が続いている。児童が年度の初めや学校行事の前に、「なりたい自分」を具体的な姿でイメージし、実践をすることの重要性を再確認した。また、その実践をいかに想起させながら振り返りを行い、次につなげていくかで内容に大きな差が出る。次のめあてを立てる際にも、振り返りの影響は大きい。そして、小学校で積み重ねた内容を中学・高校ともち上がるため、一回一回を大切に指導していかなくてはいけないと強く感じた。児童が勇気や希望をもって前に進めるような自己実現の機会を、これからもつくっていきたい。

(『道徳と特別活動』2024年6月号)