現役大学生とエジプトの教師が学級会の模擬授業を実施!【取材レポート】

(2025.7)

7月10日(木)、エジプト日本教育パートナーシップ(EJEP)に基づくエジプトの小学校教員のためのグループが、國學院大學人間開発学部初等教育学科の杉田洋教授の授業において、学生たちと一緒に特別活動の模擬授業を体験しました。
当日は学生が計画した「エジプトのみなさんと交流会をしよう」という議題で模擬学級会が行われ、言語の壁を超えて、学生とエジプト視察団の先生方が「自分もよく、みんなもよい」を目指して真剣に話し合う姿が見られました。

言葉や文化の壁があってもみんなで楽しめるようにするには、どんな工夫が必要だろう?

杉田先生の「特別活動の理論と方法」の授業では、毎回受講する学生の中で計画委員をつくり、模擬学級会をしているのだそうです。エジプト視察団は、この授業で学生と一緒に模擬学級会を行うこととなりました。


この日の学級会の議題は「エジプトの皆さんと交流会をしよう」。
言葉の壁を超えて、みんなが楽しめるようにするためにはどんな工夫が必要だろう……。真剣に考え、話し合う姿は小学校で行われている本物の学級会さながらのリアリティがありました。
多様な意見が出る中で話し合いを前に進めたのは、実際の学級会でも行われている「意見を実演して見せること」。「それってどういうこと?」「全員が楽しめるかな……」という不安を、言葉だけではなくジェスチャーや表情で解決していきます。

「決まっていること①ジェスチャーゲーム」の工夫は3案ありましたが、最終的にエジプトの先生たちの意見と学生の意見をミックスした形で行うことが決定。80人ほどの「学級」をすばやくグループ分けし、さっそく実践が行われました。

日本では定番のレクリエーションの「ジェスチャーゲーム」は、エジプトにも近い遊びがあるのか、すぐに理解し合い楽しむことができていました。しかし、文化の違いにより「その動きはなんだろう?」と混乱する場面もあり、ゲームは白熱。「なんでこのお題がこんなジェスチャーになったの?!」と思わず声が上がる学生も。
言葉が伝わらなくても、身振り手振りと少しの英語でコミュニケーションがとれたようで、参加者全員がすっかり打ち解けられたようでした。

その後、もう一つの遊びである「じゃんけん列車」では、日本のじゃんけんをレクチャー。エジプトのじゃんけんとは形が違うようで、まずは学生が日本のじゃんけんを教えることに。その後エジプト式じゃんけんを教えてもらい、みんなで実践。学生たちは、互いの「当たり前」を交流させ合うことで、遠いエジプトを近い存在に感じることができたようでした。

杉田ゼミでは、学生たちが手作りで「日本の文化」教室を開催!

次の杉田先生のゼミでは、ゼミ生がエジプトの先生たちのために「日本の文化体験」を準備。折り紙、習字、福笑いの3コースを学生がそれぞれ案内しました。


折り紙コース担当の女子学生がおみやげとして用意していた、新聞紙で作った兜をプレゼントすると「Oh, samurai helmet!」とエジプトの先生たちは大喜び。自分で作った折り紙の作品と合わせて記念写真を撮っていました。

手元に持っているのは、自分で作ったミニチュア兜。

「よい教師に必要なのはどんな要素だと思う?」国境も年齢も超えて、教育について語る

この日の最後のプログラムは、学生とエジプトの先生との教育問題についてのディスカッション。
テーマは「今日の教育問題について」「育てたい理想の子ども像」という、学校現場だけにとどまらず社会全体で考えるべき内容が、学生たちによって計画されていました。

グループディスカッションでは、現役教師であるエジプトの先生から学生への「どんな教員になりたいですか?」「教師として大切な要素はなんだと思いますか?」という問いかけに対し、学生たちは「一人一人の子どもたちと向き合いたい」「自分が学校の授業で英語が楽しいと思えたように、子どもたちにも楽しいと感じながら学んでほしい」という素直な思いを話しました。

また、エジプトでTOKKATSUを実践している先生ならではの「子どもと向き合うために大切にしていること」を聞くことができた場面も。
あるエジプトの先生は「教師の中には、子どもを強い力でコントロールしようとする者もいるが、教師として正しい知識(授業力)をつけたり、子どもに近い存在となり、よき理解者であろうと努力したりすれば、自然と子どもはついてきてくれるようになります」と話していました。
学生たちは、現場での経験や実感を伴った貴重なお話を真剣な表情で聞いていました。

最後は互いに感想を伝え合い、全日程が終了。
あるエジプトの先生は「日本の学生と交流できて楽しかった。普段はエジプトで杉田先生から指導していただいているが、私たちが日本に来て、日本の学生と一緒に学べたのはとてもよい機会となった」と充実した表情で話していました。
学生とエジプトの先生が2コマかけてじっくりと向き合った時間は、お互いにとってかけがえのない時間になったようでした。


「ゆめたま通信」では、今後も日本とエジプトの教育を通したつながりに注目し、取材していきたいと思います。

来日したエジプトの先生と杉田ゼミの学生の集合写真

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