GIGAスクール構想の成果と課題は

令和4年度の全国学力・学習状況調査の際に行われた調査によれば、個別最適な学びに関する効果を「感じている」とした回答は、全国の小学校校長で「学習速度・到達度等に応じた指導の個別化」「関心や課題に応じた学習材や学習課題の提供」「一人一人の学習状況の詳細な把握」などのいずれの項目でも6〜8割を超えていることがわかりました。

また、学習意欲や学力への影響についても、積極的な変化を感じているという回答が7〜9割にのぼります。

一方で、教師の働き方改革への寄与という点では評価が分かれました。
「教師間での教材やワークシートの共有」「授業展開の効率化」について現時点で積極的な変化を感じている校長は7~8割程度ですが、「採点にかかる時間の減少」「授業準備時間や負担の減少」については3~5割程度となっています。

小学校における一人一台端末の活用状況

小学校の授業における一人一台端末の活用状況に関する調査では、「ほぼ毎日」または「週3回以上」利用しているとする回答が約8割にものぼることがわかりました。
さらに、活用頻度が高いほど、高い教育効果が得られているという結果となりました。
次期ICT整備方針の在り方に関する作業部会の委員からは、端末の活用が進むことにより、授業が学習者主体へ変換したという声がありました。
一人一台端末があることで子供たち一人一人が自分の意見を出せるようになり、「黙って座っていればいい」授業から、「自分が意見を発表する」というふうに、児童の中で授業観が大きく変わったという意見も出されました。

しかし、活用状況を地域ごとに見直してみると、顕著な格差があることがわかります。

(文部科学省「GIGAスクール構想の現状について」より)

また、「自分で調べる場面」「教職員と児童がやりとりする場面」「児童同士がやりとりする場面」「自分の考えをまとめ、発表・表現する場面」など場面を特定しての調査では、平均利用頻度が大幅に下がる傾向が見られました。

(文部科学省「GIGAスクール構想の現状について」より)

これらの調査結果から、一人一台端末環境がほぼ行き渡った一方で、利活用の仕方についての地域間や学校間での格差は、引き続き大きいことがわかりました。
この点に関し、作業部会では、どのくらい長期目線で調達できたかが、自治体間の格差につながっているとの指摘がありました。
具体的には、新型コロナウイルスへの対応を第一に考えたため、オンライン授業ができればいいという意識で調達してしまい、その後に整備したい内容が出てきたときに予算を獲得できなかったというケースが紹介されました。
さらに、校内通信ネットワーク環境が脆弱であることやクラウド化の進まなさが、使いにくさにつながっているとの指摘もありました。