GIGAスクール構想の成果と課題は

学校の ICT 環境整備にかかる地方財政措置(単年度 1,805 億円)の根拠である「教育の ICT 化に向けた環境整備計画」が、2024(令和6)年度末に期限を迎えます。
では、学校のICT整備とICT活用の現状はどうなっているのでしょうか。
2023(令和5)年6月8日に開催された「次期ICT整備方針の在り方ワーキンググループ(第1回)」にて、文部科学省初等中等教育局より公開された資料をもとにしながら、GIGAスクール構想の成果と課題をご紹介します。

小学校におけるICT環境整備の変化

(文部科学省「学校における主なICT環境の整備状況」調査による)

GIGAスクール構想以前

文部科学省の調査によると、GIGAスクール構想が実施される以前の2019(平成31)年3月における教育用コンピュータ1台あたりの児童数は平均6.1人、普通教室の無線LAN整備率は43.4%でした。
さらに、地域間での整備状況の格差が大きく、「学校のICT環境整備状況は脆弱かつ危機的な状況」であるとされていました。
また、ほぼ同時期に結果が公開されたOECD生徒の学習到達度調査(PISA2018)の「ICT活用調査」において、学校の授業におけるデジタル機器の使用時間がOECD加盟国で最下位、学校外でのICT利用も「学習面ではOECD平均以下、学習外ではOECD平均以上」であったことも、大きな衝撃と共に受け止められました。

現在のICT整備状況

1人1台端末の整備に関しては、端末1台あたり0.9人と大きく改善しました。
また、各教室への無線LAN整備率も、43.4% → 94.8% と大幅に改善しました。

(文部科学省「現行ICT環境整備方針下での整備実態」より)

しかし、令和5年2月に発表された「校内通信ネットワーク環境整備等に関する調査結果」を見ると、児童生徒の半分以上が同時に端末を活用する場合に、1人当たり2Mbpsの帯域を確保できる学校数の割合は、まだ40%未満であることがわかりました。
今後の更なる活用推進のためには、学校のネットワーク環境をさらに強化していくことが求められます。

小学校におけるGIGAスクール構想への評価

GIGAスクール構想が目指すものは、単なるICT整備率向上ではありません。
この点について、学校現場はどのように評価しているのでしょうか。

まず、GIGAスクール構想が目指す主な目的は、以下の2つです。

●多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現すること
●これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出すこと

(文部科学省パンフレット「GIGAスクール構想の実現へ」より)