[レポート]第26回教育セミナー[前編]

[レポート]第26回教育セミナー

テーマ「自立した学びの実現」

第26回教育セミナー

令和5年2月18日に、一般財団法人 総合初等教育研究所主催の「第26回教育セミナー」が開催されました。

全国の小学校教員を対象として、新しい教育課題に対する指導について実際の授業を通した提案や意見交換が行われる、学びと気付きの場です。特に、各教科の分科会は、文部科学省の教科調査官による指導を受けながら、現役の教員が研究員となって、主査を中心に、現場での実践をベースにしながら進めているもので、先進的でありながら地に足が着いた研究となっているのが特長です。

今回は、4年ぶりの対面開催ということで、日本全国から約500名の参加者が集まったとのことです。

それでは、さっそく内容のレポートへと進みましょう!

研究主題は「自立した学びの実現」!

第26回教育セミナーの研究主題は「自立した学びの実現」でした。
紀要によれば、本主題を選定するに当たり、以下のような経緯があったとのことです。

本研究所の第11期研究において「深い学び」を行う子供の姿を「子供が自らの学びを自覚しながら、自ら学びや知を創造していく。また自らの学びや、もっている知が変わったことを自覚していくことができる学びを行うこと」と捉えることができた。(中略)
さらに、深い学びを連続的に行う中で、「自立した学び手」を育成できる可能性を示唆する実践が見いだされた。
そこで、第11期の研究成果を踏まえて、第12期、第13期では深い学びの姿を元に自立した学習者を育成する学校教育の在り方を教師の視点から明らかにできる可能性があると考えた。

今回の第12期研究では、子供の生き方を内面と日常生活から考える第1研究部会(道徳科、特別活動)と、教科の特性となる見方・考え方を働かせて学びを深める第2研究部会(国語科、算数科、社会科、理科)という2つのアプローチから、主題に迫る研究が行われています。

当日は、8つの分科会+4つのワークショップ+全体会という三部構成により、テーマである「自立した学びの実現」に迫りました。全体会では、基調提案とシンポジウムが行われました。

第26回教育セミナー

分科会の様子

分科会の様子

国語科、算数科、社会科、理科、道徳科、特別活動、外国語、授業技術の6つの分科会が行われました。

各分科会の内容

国語科

  • テーマ 基礎となる「知識」を働かせて連続した問題解決を図る学習の在り方-国語科を通して-
  • 主 査 鶴巻 恵子 先生(東京学芸大学教職大学院特命教授)
  • 助言者 大塚 健太郎 先生(文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)

社会科

  • テーマ 基礎となる「知識」を働かせて連続した問題解決を図る社会科学習の在り方
  • 主 査 石橋 昌雄 先生(立正大学教授)
  • 助言者 小倉 勝登 先生(文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)

算数科

  • テーマ 基礎となる「知識」を働かせて連続した問題解決を図る学習の在り方-算数科における子供の意思決定を重視した学習を通して
  • 主 査 渡辺 秀貴 先生(創価大学教職大学院教授)
  • 助言者 笠井 健一 先生(文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)

理科

  • テーマ 基礎となる「知識」を働かせて連続した問題解決を図る学習の在り方-理科を通して-
  • 主 査 阪本 秀典 先生(帝京大学准教授)
  • 助言者 有本 淳 先生(文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)

道徳科

  • テーマ よりよい生き方につながる学びとは-道徳科授業における協働的な学習を通して-
  • 主 査 小林 幹夫 先生(明星大学客員教授)
  • 助言者 浅見 哲也 先生(文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)

特別活動

  • テーマ よりよい生き方につながる学びとは-特別活動における道徳的実践と振り返りの工夫を通して-
  • 主 査 杉田 洋 先生(國學院大學教授)
  • 助言者 阿部 恭子 先生(文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)

外国語

  • テーマ 外国語活動及び外国語科における、主体的、対話的で深い学びの視点からの授業改善
  • 委 員 福田 優子 先生(大分県佐伯市立上堅田小学校校長)
  • 講 師 直山 木綿子 先生(文部科学省初等中等教育局視学官)

授業技術

  • テーマ 誰でもできる学級会の指導-基礎・基本を押さえて-
  • 主 査 福田 俊彦 先生(一般財団法人総合初等教育研究所室長)
分科会の様子

参加者からは、「自立した学びを追究する実践が素晴らしかった」「自身の授業研究に取り入れたいと思うものがたくさんあった」「他の研究会ではなかなか聞くことのできない大きな提案がたくさんあった」「実践発表後の協議が充実しており有意義だった」などの感想が寄せられていました。

また、教育セミナーの大きな特長のひとつに、各分科会とも、文部科学省の視学官、教科調査官による指導・助言が行われることがあります。この点についても、「非常に勉強になった」「刺激を受け、モチベーションが上がった」「理論をしっかり押さえてもらえ有意義だった」という声が聞かれました。