■ 国語
国語では、知識・技能に関する問題が6問、思考・判断・表現に関する問題が8問出題されました。
調査結果のポイントとしては、次の2点が挙げられています。
○新学習指導要領で示された「資料を活用するなどして、自分の考えが伝わるように表現を工夫すること」を踏まえた「話すこと・聞くこと」に係る出題について、資料を用いる目的を理解したり、目的や意図に応じて、資料を使って話したりすることはできている。
○目的に応じて、文章と図表を結びつけて必要な情報を見付けて読むことについて、引き続き課題がある。
知識及び技能に関する出題は全て【言葉の特徴や使い方に関する事項】からの問題で、平均正答率は68.5%でした。
ここでは、例えば「〜は〜より・・・」のように複数の情報を比べる語句など、思考に関わる語句の使い方を理解し、話や文章の中で使うことはできている一方で、文の中における主語と述語の関係や、修飾と被修飾の関係など、語句同士の関わりを捉えることに課題があることがわかりました。
分析では、自分の思いや考えを正確に伝える上で、語の関係性に気を付けて文章を整えることが重要であることがわかるよう指導することが大切であるとしています。
思考力・判断力・表現力に関する出題は、【話すこと・聞くこと】が3問、【書くこと】が2問、【読むこと】が3問でした。
このうち、【話すこと・聞くこと】に係る出題については、資料を用いる目的を理解したり、目的や意図に応じて、資料を使って話たりすることはできている様子がわかりました。
【書くこと】では、自分の考えが伝わるような書き表し方を工夫する点への指摘がありました。
目的や意図に応じ詳しく述べる必要があるか、簡単な方が効果的か、自ら判断できるよう指導することが期待されるとしています。
【読むこと】に係る出題に関しては、「目的に応じ、文章と図表とを結びつけて必要な情報を見付ける問題」における正答率が34.6%である等、他の項目と比べて、課題がある様子が見られました。
図表やグラフなどを含む文章を読む際に、文章中のどの部分と結びついている図表やグラフなのか、関係を捉えて読むことができるよう指導することが大切であるとしています。
■ 算数
算数では、知識・技能に関する問題が9問、思考・判断・表現に関する問題が7問、出題されました。
学習指導要領の領域ごとの対象問題数と平均正答率は以下のようになります。
学習指導要領の領域 | 対象問題数 | 平均正答率 |
数と計算 | 4問 | 63.3% |
図形 | 3問 | 58.1% |
測定 | 3問 | 74.9% |
変化と関係 | 3問 | 76.0% |
データの活用 | 5問 | 76.1% |
調査結果のポイントとしては、次の2点が挙げられています。
○速さと道のりを基に、時間を求める式に表すことはできているが、速さを求める除法の式と商の意味を理解することに課題がある。
○「データの活用」の領域について、帯グラフで表された複数のデータを比較し、示された特徴をもった項目とその割合を記述することに課題がある。
平均正答率が最も低かった領域である【図形】においては、三角形の面積の求め方について理解することへの課題と、二等辺三角形を組み合わせた平行四辺形の面積の求め方の記述についての課題が指摘されました。
図形を求める際に、図形を構成する要素等に着目して必要な情報を選び出し、筋道を立てながら面積の求め方が説明できるようになるよう指導することが大切であるとしています。
【変化と関係】では、文中に明示されている「速さ」と「道のり」を基に「所要時間」を求める式を作る問題の正答率が82.5%である一方、「道のり」と「時間」から「速さ」を求める除法の式から、商が「速さ」であり、数値が大きい方が速いことの理解ができていた児童が56.0%と、課題がある様子がわかりました。
速さを比べる場合には、伴って変わる2つの数量の関係に着目し、それらの関係を用いたり、単位量あたりの大きさの意味や表し方を理解することや、単位量当たりの大きさを用いて比較することができるよう、指導することが大切であるとしています。
【データの活用】は、新しい学習指導要領から充実された領域ですが、統計的な問題解決の方法を用いて考察する問題で課題があることがわかりました。
具体的には、棒グラフにおける項目間の関係を読み取ることはできてるものの、帯グラフに表された複数のデータを比較し、示された特徴をもった項目とその割合を記述する問題で、半数近くが正答できませんでした。
身の回りの事象について、データに基づいて判断する統計的な問題解決の方法を知り、その方法を用いて考察できるようにする必要があるとしています。