元文部科学省初等中等教育局視学官 宮川八岐
令和元年度末から令和2年度当初において、新型コロナウイルス感染予防への緊急避難的対応から全国の学校は一斉に休校を余儀なくされ、学校本来の機能を全く果たすことができない状態が3か月以上も続いてしまった。
ようやく6月中盤になって分散登校や通常授業が行われるようになるものの、地域や学校によって、教育課程への取組や学校運営において大きな違いが見られた。
教科の授業時数確保が学校運営の優先課題となり、特別活動への取組がおろそかにされ、特に学校行事など異年齢集団による実践活動や交流活動が極端に削減されるといった状況が続いてきた。
こうした状況は、各学校の創意工夫により、徐々に復活の兆しが見え始めているようでもある。
しかし、全校または学年以上の大きな規模で行われる集団活動の学校行事や異年齢集団活動を特質とする児童会活動、クラブ活動などは、なかなか完全復活というわけにいかないようである。
学校行事や児童会活動、クラブ活動の教育課程上の特質
学校教育は再開されたものの、それまで永きにわたって外出自粛が要請され、学級の友達や同学年、異学年の児童同士の実践活動や交流などがなかったことから、特に高学年の児童に無気力状態が見られたと言われる。
活動が制約されたことで、改めて新型コロナウイルス感染症流行以前の特別活動(多様な集団活動)の意義(特質)を実感しているとの先生方の声が多く聞かれた。
①多様な集団活動による豊かな人間関係を学ぶ機会
学級以外の多様な集団に所属し、様々な人間関係による集団活動を通して、学級では得られない豊かな学びをし、実践的態度を向上させていく。
②創意工夫力・問題解決力の広がり
学級活動での創意工夫や、創造的な問題解決の経験を生かして学校行事や児童会活動などに取り組む中で、より確かで豊かな実践力を身に付けていく。
③役割貢献の喜び、意欲の向上
多様な集団に所属し、役割(リーダーシップなど)を果たして自己有用感や達成感を得て、学校社会への帰属意識を高めるとともに、さらなる実践活動への意欲の向上が期待できる。